また「逆転の報徳」 5点差から大阪桐蔭撃破で王手 決勝打の4番・石野「みんなとお母さんに恩返しを」

[ 2023年4月1日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第11日・準決勝   報徳学園7―5大阪桐蔭 ( 2023年3月31日    甲子園 )

<報徳・大阪桐蔭>7回のチャンスをアゲアゲホイホイで背中を押す報徳の応援団(撮影・平嶋 理子)
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 これぞ「逆転の報徳」!準決勝2試合が行われ、報徳学園(兵庫)が、準々決勝の昨夏王者・仙台育英(宮城)に続き、昨春王者・大阪桐蔭(大阪)を連破し、2002年以来21年ぶりの決勝進出を決めた。同点の8回に4番・石野蓮授(3年)が決勝二塁打を放ち、同校では61年夏以来62年ぶり2度目となる5点差逆転勝利を演出した。1日の決勝で、広陵(広島)を破った山梨学院(山梨)と雌雄を決する。

 3回表終了時点で5点劣勢となっても、報徳学園ナインは諦めていなかった。それは、自分たちが「逆転の報徳」だから。4番・石野は、流れが来る瞬間を待っていた。

 「1点ずつ積み重ね、終盤に追い上げるのが自分たちの野球。焦っていなかったです」

 3点を追う7回、相手先発・南恒誠に4連打を浴びせ、前田悠伍をマウンドに引きずり出した。そして同点で迎えた8回1死一塁、石野に打席が回った。「全球種を待っていたら絶対に打てない」。直球系に狙いを定め、初球ツーシームを強振。左翼手の頭を越える決勝二塁打となった。

 「前田投手を打つためにやってきたので、打てて良かったです」

 昨秋の近畿大会決勝戦で前田に3安打零敗を喫して以来の再戦だった。聖地での雪辱を期し「また3安打で負けるぞ」と鼓舞し合ってきた。相手の屈強な体格に学び、ウエートトレーニングにも励んだ。左腕相手の盗塁練習も増やした。全ては前田を攻略するため。点差が開いても「前田を出すぞ!」と言い合い、そして攻略した。

 「逆転の報徳」の原点は甲子園初出場の61年夏。倉敷工(岡山)との1回戦で延長11回に6点差を追いつき、12回に逆転サヨナラ勝利した。5点差逆転勝利は、それ以来62年ぶりだ。伝統の粘り強さは、アルプス席が呼び起こした。応援団長の大崎元輝から「つらいときはスタンドを見てくれ」と伝えられたナインは、「アゲアゲホイホイ」と踊る応援から勇気を得た。スタンドも一体となって、大阪桐蔭をのみこんだ。

 「スタンドのみんなとお母さんに恩返しがしたい」と石野。過去、春夏3度の決勝は全勝。21年ぶり3度目の春の頂点へ、「逆転の報徳」には勢いがある。(河合 洋介)

 《大角監督が選手絶賛「奇跡ではない」》◯…「逆転の報徳」を復活させ、就任7年目でチームを選抜決勝に導いた大角健二監督は「勢いだけじゃなく選手が力をつけてくれた。奇跡ではない」と昨年の春夏王者を連破した勝利に選手の成長を感じた。報徳学園の11学年先輩でもある西谷浩一監督の甲子園最多勝到達も阻止。「監督としては足元にも及ばないけど後輩なんで大目に見てもらえるはず。明日は選手、監督として初めての全国大会決勝。ぶつかっていくだけ」と頂点をにらんだ。

 ▽61年夏の「逆転の報徳」VTR 0―0の延長11回、倉敷工が重盗やスクイズなどで6点を先制。報徳学園は直後の攻撃で、清井の右前適時打や平塚の中前適時打などで一挙6点を奪い、同点に追いついた。そして、同点の12回1死満塁で貴田が右前へのサヨナラ打を放った。

 ○…報徳学園が最大5点差から逆転勝利。選抜の準決勝以降での5点差逆転は18年春の準決勝で智弁和歌山(和歌山)が東海大相模(神奈川)戦で6回終了時の5―10から逆転して以来5年ぶり。

 ○…報徳学園が5点差を逆転勝利したのは、1961年夏の1回戦・倉敷工(岡山)戦で延長11回に6点を先制されてから同点に追いつき、最終的にサヨナラ勝利して以来62年ぶり2度目。

 ◯…報徳学園が勝ち、兵庫勢は春通算176勝となり、愛知勢に並んで2位タイに浮上した。

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