千賀、メッツと5年総額103億円で合意 オファー10球団近くの中から選んだ「3つの決め手」

[ 2022年12月12日 04:00 ]

メッツと契約合意した千賀
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 ソフトバンクから海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャー移籍を目指していた千賀滉大投手(29)が10日(日本時間11日)、メッツと5年総額7500万ドル(約102億7500万円)で契約合意した。FAでの渡米時では日本選手最高額で、育成契約出身選手のメジャー移籍は初。ジャイアンツなど複数球団と交渉して最終的にメッツを選んだ「3つの決め手」に迫った。 

 千賀の新天地がメッツに決定。10近い球団からオファーを受け、渡米して各球団の本拠地を訪れて熟慮を重ね、決断に至った3つの理由に迫る。

 (1)勝てる球団 メ軍は今季地区2位も、首位ブレーブスと並ぶ101勝で6年ぶりにポストシーズン進出。資産1兆円の投資家スティーブ・コーエン新オーナーが就任した20年オフ以降は、積極補強で著しい躍進を遂げている。11月のGM会議で、千賀の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏は「大都市に行き、強いチームに行きたがっている」と説明。ソフトバンクで4度のリーグ優勝、6度の日本一を経験しており「勝てる球団」に所属することが最大のモチベーションになることは間違いない。

 (2)同僚の存在 大リーグ関係者によれば「千賀はよりレベルの高い、意識の高い選手から刺激を受けながらプレーしたい意思がある」という。メ軍は今オフ、FAのエース右腕デグロムがレンジャーズ移籍も、今季自身3度目のサイ・ヤング賞に輝いた39歳右腕バーランダーを獲得。同賞3度の38歳右腕シャーザーとの計445勝コンビの存在は大きい。プレーに加えて、練習などで両者に接すること自体が財産。最後まで移籍先候補として残っていたジャイアンツには、2人のようなレジェンドが不在だった。

 (3)メ軍ファン 別の関係者によれば「千賀はメッツファン。シンダーガード(フィリーズからFA)とデグロムが在籍した時(15~21年)に特に応援していたようだ」という。剛腕と呼ばれた2投手は現在は他球団に移ったが、今度はバーランダー、シャーザーらと自身が剛腕ローテを形成する。かつてエンゼルスで大谷の投打二刀流を後押しした、ビリー・エプラーGMの存在も心強い。

 愛知・蒲郡高から10年に育成ドラフト4位、支度金300万円、年俸270万円で入団してから12年。約1800倍の巨額契約を手にした。契約にはトレード拒否や、25年シーズン終了後にFAとなることができるオプトアウト条項も含まれている。千賀のアメリカンドリームがいよいよ始まる。

 ≪大谷&正尚とすぐに対戦も≫千賀はア・リーグのエンゼルス・大谷、レッドソックスと契約合意した吉田正とすぐに対戦が実現する可能性がある。来季の大リーグは、各チームの交流戦が20試合から46試合に増加。97年にア、ナ両リーグの交流戦が導入されて以降初めて、同一シーズンに全球団と対戦する。ナ・リーグ所属のメ軍は7月21~23日(日本時間22~24日)に敵地でレ軍と、8月25~27日(同26~28日)には本拠地にエ軍を迎える。

 ▽ニューヨーク・メッツ 1962年のエクスパンション(球団拡張)で誕生。球団名は「メトロポリタンズ(都会人)」に由来する。69年に快進撃でワールドシリーズを初制覇して「ミラクル・メッツ」と呼ばれた。86年にも世界一に輝くも、00年はヤンキースに敗れた。リーグ優勝5度。同じニューヨークを本拠地とするヤ軍戦は「サブウエー(地下鉄)・シリーズ」と呼ばれる。本拠地はクイーンズ地区にあるシティ・フィールド。日本選手は過去30球団最多の14人が在籍している。

 ◇千賀 滉大(せんが・こうだい)1993年(平5)1月30日生まれ、愛知県出身の29歳。蒲郡では甲子園出場はなく、10年育成ドラフト4位で入団。2年目の12年4月に支配下登録される。18年など3度開幕投手を務め、20年に最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の3冠。侍ジャパンでは17年WBC、21年東京五輪に出場。通算成績は224試合で87勝44敗1セーブ、防御率2.59。1メートル86、92キロ。右投げ左打ち。今季年俸6億円。

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2022年12月12日のニュース