いぶし銀の働きを見せてきた阪神・荒木に戦力外通告 今後は未定「甲子園でプレーできてありがたかった」

[ 2021年10月6日 05:30 ]

阪神・荒木
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 阪神は5日、荒木郁也内野手(33)、伊藤和雄投手(31)、石井将希投手(26)、鈴木翔太投手(26)、藤谷洸介内野手(25)に来季の契約を結ばないことを伝えた。

 11年目の荒木は“ハンカチ世代”の33歳。主力級の活躍は無くても、主に代走、守備固めとして1軍でも渋い輝きを放ってきた。「実績は残せなかったけど、鳥谷さんや福留さんと一緒に野球をすることができたのは凄く良い時間でした。他の球団に比べても、タイガースファンの方々の応援の熱というのは凄く感じましたし、その応援の中で甲子園でプレーさせてもらえたことは本当にありがたかったなと思います」。

 いつか、聖地であの大歓声を背に受ける――。人知れず努力を重ねてきた。数年前から初動負荷理論を取り入れ、シーズン中も専門のジムに通った。同世代の巨人・梶谷とも自主トレを敢行。「カジの練習量は尋常じゃないですよ」と言いながら、負けじと打撃手袋が数日で破れるほどバットを振り込んだ。根底にあったのは、いつクビを切られてもおかしくないという危機感。「今年で終わるかもしれない。悔いのないようにしたい」。毎年、同じようなセリフで目の前の1打席、守備機会にかけてきた。

 自身が5位指名の10年ドラフト組は1位の榎田以外はすべて高校生。「周りは高校生で、当時はずっとエノキさん(榎田)と行動してました」と振り返ったが、陰では後輩に手を差し伸べた。同期入団の中谷(現ソフトバンク)はかわいがってきた1人。今年も打撃フォームに悩む姿を見ると、室内練習場で1時間以上、ティー打撃のボールを投げ続けた。普段は寡黙で無口でも、芯には優しさのある男だった。

 「今はまずお世話になった人に連絡をしてる段階で、この先のことはそれが終わったで考えようと思っています」。今後は未定で、家族とも相談し現役続行か引退かの決断を下す。(遠藤 礼)

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2021年10月6日のニュース