米子松蔭 劇的サヨナラで8強 勇気の投稿・西村主将「諦めない気持ちが大切。日本中の皆さんに感謝」

[ 2021年7月22日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権鳥取大会2回戦   米子松蔭3-2境 ( 2021年7月21日    どらドラパーク米子 )

<米子松蔭・境>9回2死満塁、サヨナラ勝利に歓喜の西村(中央右)ら米子松蔭ナイン (撮影・後藤 大輝)
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 第103回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、甲子園)の出場をかけた地方大会は21日、各地であり、鳥取大会では学校関係者に新型コロナウイルス感染者が出て「不戦敗」からの再出場が認められた米子松蔭が境に9回逆転サヨナラ勝ちし準々決勝に進んだ。

 感謝の思いが強い分、涙はなかった。2点を追う9回、米子松蔭は先頭から3連打で1点差。その後、2死満塁とし4番の小野陽一朗が左前適時打を放ち相手左翼が処理を誤る間に二塁走者もサヨナラの生還を果たした。「何とか出場する道を模索していただけませんか?」と悲痛な叫びをツイッターに投稿した主将の西村虎之助は、万感の思いで校歌に聞き入った。

 「悔しい、つらいことだったんですけど、日本全国の方々が応援、協力してくださったおかげで僕たちはこの場にいる。全国、日本中の皆さんに感謝したいです」

 出場辞退となった17日から休校となり自宅待機。19日に出場が決まると20日に2時間だけ練習ができた。春季大会を制したV候補とはいえ準備不足は明らか。2点を追う7回2死二塁で中前に抜ける一打を放った藤江優斗が一塁へ向かう途中に足をつり転倒。アウトになる場面もあった。

 9回1死満塁で三振するなど4打数無安打の西村は「信じたことが、ああいうこと(辞退の取り消し)につながったと思います」。声を上げて報われ、この日は仲間の力を信じて、また報われた。

 ツイッターのアカウントは持っていたが、投稿は初めて。「不安や怖さはあった」が勇気を振り絞った。想像以上の後押しを受けて実現した試合。「当たり前にできている野球が楽しく、ありがたいことなんだと。何とかしたい気持ちがあれば、かなうこともある。諦めない気持ちが大切」。勝ったことよりも、最後の夏に思い切りプレーをできたことがうれしかった。

 「復活」を承諾してくれた境ナインに、全国の援軍の思いも背負って戦う責任がある。「境高校のため、応援してくださる方々に恩返しをするため、一戦一戦僕たちのプレーをして甲子園に出場し、日本一を獲りたいと思います」。奇跡の夏はまだ終わらせない。(北野 将市)

 《4番の劇打で決着》4番の小野が「サヨナラ打」を放った。1―2の9回2死満塁、真ん中低めの直球を捉え三塁右を破る適時打。左翼手がファンブルする間に、三塁で一度止まった二塁走者が本塁を陥れ劇的勝利となった。「境さんが承諾してくれたおかげで試合ができた」と相手校に感謝した上で「あと3つ勝って甲子園に出て、支えてくれた人たちに恩返しがしたい」と一つ一つ言葉を選びながら決意を語った。

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