「去年の思いも背負って歩く」 市西宮高プラカードガール決定 コロナ下、歓声なき合格発表

[ 2021年7月20日 17:08 ]

新型コロナ対策の説明を聞く市立西宮高のプラカードガールたち(20日、同校小講堂)
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 今夏の第103回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、阪神甲子園球場)開会式で出場校を先導するプラカードガール(正式には式典誘導係)の合格者発表が20日、西宮市の市立西宮高校であり、64人が決まった。

 出場校のプラカードを持つ49人に国旗・大会旗11人、閉会式(表彰式)の4人。新型コロナウイルス感染者が出た場合などに備え、補欠合格者4人も選んだ。

 13日にあった選考会には対象の2年生女子140人が受験。姿勢やリズム感などで体育教官が選んだ。

 コロナ下とあって、発表形式も廊下での張り出しをやめ、「3密」にならぬよう小講堂で着席のうえスライドに合格者番号を映しだした。生徒はマスク着用で集まり、合格者は従来のように歓声をあげたり、抱き合ったりせず、静かに喜びをかみしめた。大会前にPCR検査を受けたうえ、本番に臨む。

 野球部マネジャーの北中心菜さんは中学2年生の夏、第100回大会開会式を甲子園で見て「かっこいいと憧れるようになった」と市立西宮高を受験。報道で野球部女子マネジャーの姿を知り「わたしにも何か選手たちを支えることができるのではないかな」と野球部入部を志願した。

 兵庫県猪名川町の自宅から自転車と電車で1時間以上かけて通学し「朝練の時は5時台に家を出る」という。野球部は17日、兵庫大会3回戦で敗れてしまったが「野球部のみんなに伝えるときっと喜んでくれると思います」と話した。

 市西宮で長年美術教諭を務めた祖父から話を聞いていたという遠藤亜依さんは「イチニシ(市西宮)に入った時は“制服が似合う”と喜んでくれましたし、プラカードを持つと伝えると相当喜ぶと思います」と笑顔を浮かべた。

 自治会本部役員として選考会の模様をこの日掲示・配布した校内新聞で伝えた秋島心音さん、中島知香子さんは「ほっとしました」と喜びを分かち合った。ともに「記事で取り上げた自分たちが不合格だったら……」と不安だったそうだ。

 1997年から式典誘導係の指導を行う青石尚子教諭(52)は「主役は高校球児。あなたたちはお手伝い」と強調した。さらに「大会が中止となった昨年の野球部員、残念な思いをした昨年の2年生女子の思いもくんでやりましょう」と訓示した。8月6、7日に行進練習を行い、9日の本番に臨む。

 開会式先導役は1949(昭和24)年の第31回大会から同校女子生徒が務めている。 (内田 雅也)

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