秋広「巨人の顔」に 18歳2メートル新人が語る1軍との差 「衝撃」だった由伸の消えるフォーク

[ 2021年4月27日 08:00 ]

バットをじっと見つめる秋広(撮影・木村 揚輔)
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 【目指せ!ゴジラの道 秋広優人成長記】巨人のドラフト5位・秋広優人内野手(18)が1軍デビューを目指し、2軍で鍛錬に励んでいる。日本選手歴代最長身の2メートルを誇る大型スラッガーはオープン戦まで1軍に同行。2軍では打率.204ながら3本塁打と長打力を発揮している。OBで同じ左の強打者だった松井秀喜のような「巨人の顔」を目標にする18歳。本紙では企画「目指せ!ゴジラの道 秋広優人成長記」を月に1回掲載する。

 ジャイアンツ寮に入寮して約4カ月。寮生活にはだいぶ慣れてきました。朝は6時に起きて朝食や準備をします。7時には寮を出て自転車でジャイアンツ球場へ。アーリーワーク、全体練習を行って午後の試合へ備えます。試合後にはまずベンチ掃除。その後はボール拾いやスコアボード上にある球団旗を回収します。それから個別練習をしてウエートがある日は寮に帰るのが7時ごろになりますね。そこから夕食やお風呂など。部屋に戻るのは10時半くらい。気づいたら寝ちゃっています。夜は凄い短いなあって感じます。休みの日も今は外出できないので基本寝ていますね。

 キャンプ途中からオープン戦まで1軍というのは正直、自分でも驚いていました。そんなに早く1軍に行けると思っていなかったので、本当に良い経験ができたと思います。プロの厳しさもそうですが、投手のレベルの高さを実感しました。特に衝撃を受けたのはオリックスの山本由伸さんのフォーク。消える。真っすぐと思って振ったら、振った後にフォークって気づいて、本当に衝撃でした。これに対応するには「目の力」が大事。真っすぐを狙ってフォークが来たとしても見逃す、バットを止めるという力が必要だと感じました。

 オープン戦などではたびたび、松井秀喜さんと比べられましたが、巨人の偉大な先輩と一緒に名前を並べられるのは光栄で、凄いうれしかったです。目標と言ったらおこがましいのですが、松井さんと同じように「巨人の顔」になれるように頑張っていきたい。

 阿部2軍監督からは「あまり考え過ぎるな」と言われています。調子の良い時は考え過ぎずにできるのですが、悪くなってきたらいろいろ考え過ぎちゃうところがあるので。最初の2軍キャンプでも自由にやらせてもらっていたのですが、1軍から戻ってきた時に「良いピッチャーを見過ぎて、当てたいと思い、小さくなっている」と言われました。そこからは大きく、ゆったり構えるようにしています。今の自分に点数をつけるなら30点。最近はヒットもなかなか出ていないので、全然足らないなと。ただ、こういう時こそしっかり意識して、無心で大きく構えて打席に立ちたいと思います。

 身長はキャンプ以来測っていないので2メートルのままかな。体重も94キロですが、100キロを目指しています。今は2軍で毎試合ヒットを打ち続けることを目標に取り組んでいます。(読売巨人軍内野手)

 ≪巨人担当・小野寺大記者が見た秋広≫秋広の魅力は初球からしっかり振れること。オープン戦では7三振を含む14打席連続無安打という中でも、9打席でファーストストライクを振っていた。

 簡単ではない。初めて対戦する投手ばかりで、球筋やタイミングなどを確認できないからだ。結果が出ない時は好きな球種やコースを待つようになり、積極性が失われていく。しかし、秋広は違う。「それが持ち味だと思っている」と思い切りの良さがある。

 2軍での打率は2割前後と壁に直面しているが、その姿勢は貫く。24日のイースタン・リーグ、日本ハム戦では17年にWBCに出場した秋吉から右中間へ本塁打を放った。実績のある投手でも初球から振ってファウルにし続けてきた直球を捉えた。空振りしても、相手を威圧するスケールの大きい選手になれる資質を持っている。

 「早く1軍に行ければ良いですけど焦りはない。まず慣れて2、3年目くらいには勝ちに貢献できるように」と言う。地に足を着け、自らを客観視できる秋広なら想像を超える成長を見せてくれる。

 ◆秋広 優人(あきひろ・ゆうと)2002年(平14)9月17日生まれ、千葉県出身の18歳。幼稚園の年中から野球を始め、宮本中時代は江戸川ボーイズに所属し、主に内野手。二松学舎大付では1年秋からベンチ入り。2年秋から4番でエースとなり、投手では最速144キロ、高校通算23本塁打。20年ドラフト5位で巨人に入団。契約金3500万円、年俸540万円。2メートル、94キロ。右投げ左打ち。

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