ロッテ・鈴木を法大の先輩がジャッジ NPB審判員も始動

[ 2021年2月4日 11:48 ]

選手時代は広島、日本ハムでプレーした秋村審判員
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 ロッテのドラフト1位・鈴木昭汰投手が3日、石垣島春季キャンプで2度目のブルペン投球を行った。最速153キロ左腕は田村のミットを得意の快速球で鳴らした。法大出身のルーキーが投じたボールを判定したのは、同じく法大出身で東京六大学野球リーグ通算14勝を誇る秋村謙宏審判員(54)。ブルペンに響く「ストライク!」「ボール」の声。通算1875試合出場のベテラン審判員は鈴木が投げ込んだ42球を見極めた。

 試合の判定を担当するNPB審判員も選手同様に1日にキャンプイン。秋村審判員はランメニューやブルペンでの投球判定で汗を流し「お客さんがいなくて寂しいが、沖縄の太陽を浴びて“始まったな”という感じ」と笑顔。3月26日のシーズン開幕に向け調整を続けている。

 審判として3度の日本シリーズ、オールスター出場などの実績を持つが、“本格派右腕・秋村”としての活躍を知る人も多い。宇部商時代はエースでチームを3度甲子園に導き、3年夏は3回戦の仙台商戦で完封&本塁打を放つ活躍を見せた。法大では4年秋に投手でベストナイン。日本石油(現ENEOS)を経て、広島では93年に主に中継ぎで6勝を挙げた。

 快速球を武器に多くの舞台で活躍した秋村審判員の一番の思い出は83年夏の甲子園。帝京との2回戦に逆転サヨナラで自身の甲子園初勝利を挙げ、チームが「ミラクル宇部商」といわれる原点となった試合だ。「4―5で9回裏に入って、投げ負けたと思っていた。(先発で9回5失点)ベンチの冷水機で水を飲んでいると、快音と“ワッ”という歓声が聞こえて、振り返ると(浜口大作さんの)逆転サヨナラ本塁打で勝っていた。仲間に助けられた1勝が本当にうれしかった」

 プロでは広島、日本ハムでプレーし、97年に現役を引退。99年からプロ野球審判員を務める。23年目のシーズンをコロナ下で迎え「こんな状況だけど、せめてプロ野球で盛り上がるように力になりたい。自分たちはあくまでも黒子。できることを積み重ねていきたい」と静かに語る。

 華々しい選手時代の“爪”を隠す審判員が影から試合を支える。

 ◇秋村 謙宏(あきむら のりひろ)1966年2月26日生まれ、山口県出身の54歳。宇部商では3度甲子園に出場。法大、日本石油を経て、89年にドラフト外で広島に入団。95年に日本ハムへ移籍し、97年に現役を引退。99年にパ・リーグ審判部に入局。選手としては173試合で9勝11敗、3セーブ。防御率4・37。審判としては1875試合に出場。袖番号は1。

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2021年2月4日のニュース