中畑清氏 久しぶりの「ナシ」の声に感激!長引くコロナとの闘い、野球界は…

[ 2020年4月21日 06:00 ]

中畑清氏
Photo By スポニチ

 【キヨシスタイル】日曜日(19日)の朝、電話で起こされた。ガラケーから最近替えたスマホの着信画面には「梨田」と表示されている。うれしくて「ナシ、お帰り!」と声かけたら、まだ通話状態になってなかった。

 画面をスライドすると聞こえてきたよ。久しぶりの、かすれた声。確かにあいつだ。新型コロナウイルスに感染して2週間ICU(集中治療室)に入り、生死の境をさまよって無事帰還した梨田昌孝だ。

 昭和28年生まれの野球人でつくる「28(ニッパチ)会」の仲間。今は一般病棟に移り、やっと食事も取れるようになったって。生きててくれて良かった。よくぞ頑張り抜いたよ。

 新型コロナとの闘いはきっと長くなる。ナシには、完治したら感染の怖さを体験した人間として、みんなに「本当に気をつけろ」というメッセージを送ってもらいたい。これが彼の新しい役割になると思うね。

 そうした中、野球界はどうあるべきか。試合数がどうのとか交流戦がどう、CSがどうのじゃない。いつになるか先は見えないけど、開幕した時点で、どんな野球が提供できるか。それが一番大事なんじゃないかな。

 プロである以上、環境や状況を言い訳にはできない。そのための準備をしっかりしていかなくちゃ。いかに状態を上げ、維持するか。これまで指示待ちだった選手が、このタイミングで自分で工夫するようになってくれたら幸い。成長につながると思う。

 短い期間でもなんとか公式戦をやって、日本シリーズにこぎつける。極端な話をすれば、トーナメントでもいい。どんな形になったとしても、最終的に「野球の力」をファンに伝える。その思いをみんなで共有し、集中して準備してもらいたい。

 それはそうと、気になったのは緊急事態宣言が全国に広がった日曜日の人出。都心は閑散としてたけど、公園とか海岸とか…。巣ごもりのストレスを発散したい気持ちは分かるけど、これで感染したら元の木阿弥(もくあみ)だよ。私たちも工夫して強くなっていかなきゃ。

 うつらない。うつさない。これが鉄則。みんな肝に銘じて、この難局を乗り越えていこうよ。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

2020年4月21日のニュース