【17年物故者追悼】森慎二氏の思い、魂は選手の心を奮い立たせた

[ 2017年12月30日 10:30 ]

西武現役時代の森慎二氏
Photo By スポニチ

 2017年も年の瀬を迎えた。プロ野球はソフトバンクが2年ぶりの日本一。広島はリーグ2連覇を果たし、3位・DeNAのCSでの躍進もファンの脳裏に刻まれた。一方でプロ、アマ球界を支えてきた関係者の訃報も届いた。西武の森慎二さんは6月28日、多臓器不全のため42歳の若さで死去。現役の投手コーチとの突然の別れにチーム、そして球界は悲しみに包まれた。

 森さんは最後までチームの戦いぶりを見守った。球団から病気療養が発表された翌日の6月28日。福岡市内の病院で帰らぬ人となった。「数日前まで一緒にやってきた。ショックですよ。つらいです」。沖縄遠征中だった辻監督は、目を真っ赤にして涙を拭った。

 チームは同30日のオリックス戦から、ベンチに森さんの背番号89のユニホームを掲げた。当初は3日間の予定だったが、「慎二さんと一緒に戦いたい」と選手が強く要望。7〜8月には59年ぶりの13連勝もマークした。帽子に貼られた「89」のワッペンとともに楽天に敗退した10月16日のCSファーストS第3戦まで森さんは常にナインのそばにいた。

 野球が大好きだった。現役時代はメジャーリーグを夢見て、コーチとしては選手と同じ目線で話すことを常に意識していた。左足を高く上げる豪快な投球フォーム。一方でマイペースで飾らない人柄は誰からも愛された。恵加(あやか)夫人との間には幼い男の子が3人。大好きな野球に負けない、それ以上の愛情を注いでいた。わずか42年の生涯。さぞや無念だったろう。

 年明けには墓を建てる予定で準備が進められているという。仲間からは愛着を込めて「慎二」と呼ばれた。そして、誰にでも笑顔で返す男だった。(鈴木 勝巳)

続きを表示

2017年12月30日のニュース