同じ釜のメシを食べた間柄 高校時代チームメートだったプロ野球選手

[ 2016年8月5日 10:00 ]

広島・野村と巨人・小林誠

 8月7日に開幕する甲子園の出場49校が決まった。多くのプロ野球選手たちも、今も昔も変わらず高校球児らしく甲子園を目指していた日々があった。そんな中、高校時代に同期として、または先輩後輩としてチームメートだった選手もいる。今回はそんな間柄の選手を3組紹介したい。

◎あの準優勝があったから… 広陵高・野村祐輔と小林誠司

 現在、セ・リーグトップの12勝をマークし、前田健太(ドジャース)が抜けた穴を十二分に埋める結果を残している野村祐輔(広島)。左肩骨折から復帰し、チームの勝率とともに自身の打率も少しずつ上げている小林誠司(巨人)。

 この2人は広島の強豪・広陵高の同期だった。岡山出身の野村と大阪出身の小林はともに越境で広陵高に入学。元々は投手だった小林は捕手にコンバートされ、野村とバッテリーを組むことになる。

 野村と小林のバッテリーで思い出されるのは、3年夏の甲子園だ。勝ち進んだ広陵高は、決勝で佐賀北高と対戦。4対0とリードし、迎えた8回裏。ストライク・ボールの判定に苦しみ、押し出し四球で1点を許すと、続く副島浩史に満塁弾を浴び、試合をひっくり返された。

 その後、野村は明治大に入学しエースとして活躍。2011年のドラフトで広島から1位指名を受け入団。一方、小林は同志社大、日本生命を経て2013年に巨人のドラフト1位で入団を果たした。あの経験があったからこそ、さらなる研鑽を積み、プロでの成功に結びつけた。

 ところで、小林がミットをバットに持ち替えて、相対するようになった2人の対戦成績を見ると、昨季は4打数1安打、今季は8打数4安打。通常の打率を考えると、小林に分がある。

◎高め合う競争相手…東海大相模高、東海大・菅野智之と田中広輔

 その野村、小林と同学年でもあるのが、いまや球界のエース・菅野智之(巨人)と首位独走チームの核弾頭・田中広輔(広島)だ。

 神奈川の名門・東海大相模高の同期。2年春にチームはセンバツに出場した際、田中はレギュラーとして甲子園の土を踏んだが、菅野はメンバー外だった。2年秋の新チームから菅野はエースとなり、チームを引っ張っていく存在になっていく。

 高校3年夏、神奈川大会の準決勝・横浜高戦では4回に菅野の「振り逃げ3ラン」という珍しいプレーもあって決勝へ進出。しかし、桐光学園高に敗れ、甲子園出場はならなかった。

 高校卒業後、そのまま東海大へ進学。大学で先に頭角を現したのは菅野。2年時の大学代表候補合宿に、菅野は代表候補選手として参加した一方、田中は球拾いなどの補助として参加した(平塚球場で行われることもあり、例年、東海大の下級生がお手伝いをする)、というエピソードはメディアでよく使われている。

 菅野は2011年のドラフト会議で日本ハムから1位指名されるも入団を拒否。1年間の浪人を経て、伯父・原辰徳が監督を務めていた巨人に入団する。一方、田中はJR東日本へ進み、2013年のドラフト3位で広島に入団を果たした。

 抜きつ抜かれつ歩んできた。プロでは菅野が先に結果を残しているが、7月28日に田中が菅野から2打席連続の本塁打を放った。これには、あまり感情を表に出さない菅野がグラブを叩きつけるほど悔しがった。これから名勝負が生まれそうな同期対決だ。

◎倉本寿彦と筒香嘉智(ともにDeNA)

 前出の「振り逃げ3ラン」の対戦相手・横浜高にいたのがDeNAの倉本寿彦と筒香嘉智だ。当時、2年生だった倉本は途中出場、筒香は1年生ながらスタメンに名を連ねた。

 新チーム結成後、倉本はショート、筒香はサードとなった。2人は三遊間を組み、明治神宮大会で準優勝。しかし、優勝候補の一角に挙げられた2008年のセンバツでは、北大津高に敗れ、初戦敗退に終わる。

 そして同年夏前に倉本はサードへ、筒香はファーストへ移った。この夏の甲子園は第90回の記念大会で、神奈川には2つの出場枠が設けられていた。横浜高は南神奈川大会を順調に勝ち進み、甲子園へ出場。初戦から浦和学院高、広陵高、仙台育英高といった強豪を撃破し、準々決勝の聖光学院高戦では筒香が2本塁打、8打点と大暴れ。しかし、この大会で優勝する大阪桐蔭高に4対9で敗れ、ベスト4に終わった。

 2009年秋、筒香は横浜にドラフト1位で入団。倉本は創価大、日本新薬を経て、2014年のドラフト会議でDeNAから指名を受け、プロ入り。筒香と再びチームメートとなった。

 今年、プロ2年目の倉本は開幕から高い打率をキープし、DeNA打線を引っ張る存在に成長した。筒香はさらに上をいき、7月に月間6度のマルチ本塁打というNPB新記録を作り、8月2日時点で昨季の本塁打王の山田哲人(ヤクルト)を上回る32本塁打。「侍ジャパンの4番に!」と押す声は日に日に高まってきている。

 そんな2人が躍動するDeNAの本拠地は高校時代に慣れ親しんだ横浜スタジアム。「高校野球でしか満員にならない」と揶揄された時期もあったものの、いまは連日多くのDeNAファンが押しかけるようになった。それは地元の高校出身選手が活躍しているから、という側面もある。今後のさらなる活躍は見逃せない。(『週刊野球太郎』編集部)

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