メジャー移籍か…グリエル来日拒否で解雇 米なら年俸10億円超確実

[ 2015年4月3日 05:50 ]

DeNAとの契約が解除されたY・グリエル

 DeNAは2日、右太腿裏痛を理由にキューバにとどまり来日のメドが立っていないユリエスキ・グリエル内野手(30)の契約を解除した。高田繁ゼネラルマネジャー(GM=69)によると、来日時期の見通しが立たず、ケガの状況も判然としないため。昨オフに総額5億円で再契約したが、契約解除による違約金は発生せず、本人も同意しているという。自由契約選手となったY・グリエルにはメジャー移籍の可能性も浮上している。

 いつになるか分からない来日を待つことなく、「解雇」という措置を取った。午後5時すぎ、広島戦前に横浜スタジアムの一塁ベンチで報道陣に対応した高田GMは淡々とした口調で説明した。

 「きょうグリエルに契約を解除すると通告した。理由は、本人が故障を理由にして、いつ日本に来るか分からないから」

 キューバ国内リーグに参加していたY・グリエルは所属チームのシーズン敗退を受け、当初は3月24日に来日する約束だった。しかし、右太腿裏を痛めたことを理由に「完治するまでは日本に行かない」と連絡を入れ、球団側が要求した診断書の提出も拒否していた。

 球団は28日に担当者をキューバに派遣。窓口である政府と交渉したが、本人には会えなかった。そのためこの日になって自宅まで押しかけ、本人と直接話し合った。日本でプレーしたいという意思は示したものの「完治してから」の一点張りだったという。高田GMは「2日に担当者と一緒の便に乗せて帰ることも考えたけど、それも来ないと。契約というものを理解していないのではないか。ずるずるやってもチームにマイナスになる」とあきれ顔。その場で契約解除を通告し、本人も書面にサインした。

 Y・グリエルは、昨季キューバ政府が選手の海外移籍を解禁したことを受けて、5月にDeNAに入団。62試合で打率・305、11本塁打をマークし、オフには巨人との争奪戦を制し、再契約にこぎ着けた。年俸3億5000万円、契約金などを含めて総額5億円という破格の契約だったが、同GMは「お金は一切発生しない。本人も要求していない」と説明した。

 Y・グリエルの今後は不明だが、メジャー移籍の可能性は十分ある。メジャーは現在、空前の「キューババブル」で、チャプマン(レッズ)、プイグ(ドジャース)ら多くの選手が活躍したことで契約金が高騰。さらに米国とキューバの国交正常化に向けた動きを受け、今年2月に大リーグ機構と米政府の間で合意した新規定では、米球団が政府の許可なく、キューバ選手を獲得できるように大幅緩和された。

 同時期にY・グリエルは大リーグ公式サイトの取材を受け「誰もが最高の舞台であるMLBでプレーしたい。自分は合法的に行きたい」と話していた。仮にメジャー球団との交渉になれば、相場は年俸10億円以上となるのは確実だ。

 Y・グリエルはこの日、自由契約選手として公示された。高田GMは「好きにやっていいよ。これでも獲るというなら巨人だって獲れるよ」と、既に無関係の立場を強調。国際大会でも輝かしい経歴を持つ「キューバの至宝」だが、日本球界ではお騒がせ助っ人として名を残すことになった。

 ◆ユリエスキ・グリエル 1984年6月9日、キューバ生まれの30歳。走攻守そろった内野手として02年にキューバ代表入りし、以降ほぼ全ての国際大会に出場。04年アテネ五輪金メダル、06年WBCは二塁手でベストナインを獲得した。父ルルデス氏も同代表として92年バルセロナ五輪金メダル。昨年6月にDeNA入団。62試合で打率・305、11本塁打、30打点の成績を残した。1メートル83、89キロ。右投げ右打ち。

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