イチ「51」で再出発 愛着背番「無意識下でサイン…うれしい」

[ 2015年1月30日 05:30 ]

真新しい背番号「51」のユニホームを披露するイチロー

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、マーリンズと年俸200万ドル(約2億3600万円)プラス出来高払いの1年契約を結んだイチロー外野手(41)が29日、都内のホテルで入団会見を行った。球団幹部も来日した異例の会見では、真新しいユニホーム姿を披露。2年半ぶりとなる背番号51が決め手の一つだったことを明かした。メジャー現役最年長野手となる41歳。「第4の外野手」を受け入れた上で、代名詞の背番号で再出発する。 

 無数のフラッシュが浴びせられる中、日本選手がこれまで在籍したことがないマーリンズのユニホームに袖を通した。2年半ぶりに復活した「ICHIRO 51」。イチローの表情が自然と緩んだ。移籍の決め手の一つは、背番号51だった。

 「実は昨晩、ユニホームをいただいた時は15番でした。アメリカは右側通行だけど、日本は左なので、そういう解釈もあるかと思った」と冗談交じりに切り出すと、オリックス入団からマリナーズを離れる12年7月まで21シーズン背負った51番への思いを明かした。

 「(ヤンキースで)31番になった時に、一番最初に書いたサインは51と書いてしまったくらい、僕の手は51をよく覚えています。無意識下でしっかりと51と書けることは凄くうれしい」。前夜は高揚感を抑えきれず、子供のように何度もユニホームを着たという。

 ヤンキースからFAとなったこのオフは、初めて翌シーズンのチームが決まらないまま年を越した。「日本復帰の選択肢はあったか」との質問には「いろいろ考えました。それで察してください」と言って、ニヤリと笑った。日本球界復帰も視野に入れるほど、苦悩の日々を過ごしていた。

 そんな時、マ軍からオファーが届いた。外野陣は「メジャーNo・1」と言われ、昨季ナ・リーグ本塁打王の25歳スタントン、昨季23本塁打の24歳オズナ、昨季ゴールドグラブ賞の23歳イエリチと若くて才能豊かな3選手が定位置をつかんでいる。「第4の外野手」という位置づけだったが、イチローは「想定内。何の問題もない」と平然と答えた。それを上回るものがあったからだ。

 「やたらに熱い思いが伝わってきた。選手として必要としてもらえることが何よりも大切なことで、大きな原動力になる」。今回、イチローの実績に敬意を払い、デービッド・サムソン球団社長ら球団幹部が強行日程で来日し、日本で入団会見を行ったのもその一つ。「マイナス要素を挙げてそれがクリアできるか考えたけど、全部クリアしちゃった。細かいことを言えば51番であったり、自分のウエートマシンを置けるスペースがあるかどうか。そうすると、“ノー”という理由がなくなった」と説明した。

 41歳は現時点では野手最年長となる。年齢の話題に及ぶと「恐ろしい質問をされるとせきが出る」とせき込み、何度も用意された日本茶で喉を潤した。「野球選手として嫌な年齢に来た。ただ、25歳でも45歳に見える人はたくさんいる。その反対であることができるように、ちょっとずつ前に進みたい」と話した。

 メジャー通算3000安打に残り156本に迫る。しかし「節目の数字をクリアすることはとても大事だが、その目標があるからという理由だけでプレーを続けるということではない」ときっぱり。数々の栄光の軌跡をともに歩んできた「51」を背負い、イチローがメジャー15年目に向かう。

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