阿部 選手では松井以来12年ぶりの正力賞「大変光栄」

[ 2012年11月15日 06:00 ]

正力松太郎賞を受賞し、会見する阿部

「正力松太郎賞」選考委員会

 プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる今年の「正力松太郎賞」の選考委員会が14日、都内で行われ、巨人を3年ぶり22度目の日本一に導いた原辰徳監督(54)と、首位打者と打点王の2冠に輝いた阿部慎之助捕手(33)が選ばれた。賞金は500万円。原監督は09年以来3度目の選出で、阿部は初受賞で、同一チームからの2人受賞は史上初の快挙となった。

 大きな勲章を手に入れた阿部が、キューバとの強化試合に備えてスーツ姿でヤフードームに現れた。巨人の選手としては王貞治、松井秀喜に続いて3人目となる正力賞の受賞。球団史に残る強打者と同じ栄誉を手にし、自然と笑みがこぼれた。

 「最初に聞いた時は凄く信じられない気持ちだった。大変光栄に思います。僕が死んでも、孫たちが見て喜んでくれればいいなと思います。(今季は)もうないんじゃないかというぐらい満足できた」

 日本シリーズでは右膝裏を痛めて2試合を欠場しながら、復帰した第6戦で日本一に導く決勝打を放った。満身創痍(そうい)の状態だが、体を休める暇はない。来春のWBCで主将を務める侍ジャパンに合流。15日から練習に参加する。「ジャパンのユニホームを着たら、お尻がキュッと引き締まると思う」と一転、勝負師の顔に戻った。

 「キューバは本大会で当たるチーム。まずは相手を見ることだけでも大事。しっかり観察したい」。キューバとはWBC1次ラウンドで同組に入るライバル。16、18日の強化試合での出場は代打のみの予定だが、「プレーイングマネジャー」の役割を担う。

 00年のシドニー、08年の北京五輪、09年の第2回WBCなど国際大会の経験は豊富な阿部。「びっくりしないことだね。国際大会はいろんなことが起こる。審判もそう。とんでもないところをストライクと言われたりね」。若手主体のチームに想定外の事態への心構えを説く。特にキューバは、ベンチから味方打者に投球の内外角や球種を伝達する声が飛ぶことや、打席、投球の間合いを長くする相手の独特な心理作戦を熟知している。主将に指名した山本監督も「キューバはいろいろなことをやってくる。慎之助も分かってくれていると思う」と話した。

 東尾投手総合コーチも「ポイントポイントで(配球で)要求することがあればキャッチャーに要求する」と阿部と意見を擦り合わせながら、ベンチからの司令塔としての役割を与える意向だ。

 背負うものが大きいほど力を発揮するのが阿部。「(WBCを見据えて、自分が)何をしなくちゃいけないかを考えて過ごしていきたい」。そのまなざしは真剣そのものだった。

 ▽正力松太郎賞 日本プロ野球の生みの親として知られる正力松太郎氏(元読売新聞社社主)の功績を称 え、1977年に創設された。その年のプロ野球発展に、大きく貢献した人物(監督または選手)に贈られる。表彰者には金メダルと賞金500万円を贈呈。

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2012年11月15日のニュース