全試合4番!エンゼルス“マツイ完全再生計画”

[ 2009年12月18日 06:00 ]

エンゼルスタジアムに立ち、ポーズを取る松井

 さらば、ヤンキース!7年間在籍したヤンキースからFAになっていた松井秀喜外野手(35)が16日(日本時間17日)、エンゼルスと1年契約の年俸600万ドル(約5億4000万円)で正式契約を交わし、本拠地のエンゼルスタジアムで入団会見を行った。エ軍のマイク・ソーシア監督(51)は松井を162試合フル出場させる完全再生計画を披露し、新しいチームリーダーにも指名。米国を横断する形で移籍した松井がア・リーグ西地区の王者の一員として第2のメジャー人生をスタートさせる。

 身も心も早くもエンゼルス色に染まっていた。自主トレで赤く日焼けした顔、そして赤っぽいネクタイ。用意された背番号55のユニホームに袖を通した松井は「球団にも凄く感謝しています」と一礼すると、「ネクタイの色は決意の表れ?そう受け取ってもらっていいです。(赤は)子供のときはアントニオ猪木さん(のタオルの色)だったかな」と屈託なく笑った。
 「新しい自分自身の出発に、非常にエキサイトしています。エンゼルスが世界一になるために、今まで身に付けたものを全部出し切りたい」
 2002年以来2度目となるエ軍のワールドシリーズ制覇を目標に掲げてのメジャー人生の再出発。ヤ軍での7年間はワールドシリーズMVPで幕を閉じたが、両ひざの故障でDH専任となり、外野手という肩書を失った。それだけに移籍を決断した理由を「少しでも多くプレーしたい。そのためにまた守備に戻りたい。もう1度そのチャンスを与えてくれるというのが一番大きかった」と力説した。
 エ軍も球団を挙げて松井を再生し、全162試合で4番で起用することを目指す。ソーシア監督は「われわれに大事なのは、彼が打線の中軸に座り、毎日バットを振ること」と話した上で、具体的な再生プランにも言及。「キャンプでは週に2試合外野で起用し、テストする。彼が左翼を守れれば自由に打線を組めるし、他の野手に休みも与えられる。よりいいチームになる」とした。
 これこそ松井が最も望んだ条件だった。13日には代理人のテレム氏の自宅でソーシア監督とともにイタリアンの昼食をともにし、口説き落とされた。「感激した。毎日プレーする機会を用意してくれる。そして外野守備にも逆にチャレンジしてほしい、と」。挑戦――。その言葉の響きが何より松井の心をとらえた。
 巨人、ヤ軍と名門一筋で17年間戦ってきた。「エ軍も強豪ですし、またその名門への階段を上っている途中。その力に少しでもなれればいい」と松井。若手も多いチームだけに指揮官は「彼は真のプロ。リーダーシップを発揮し、若手はヒデキを見て学んでいく」とニューリーダーにも指名した。
 自身の2年連続世界一に向けて、最大の難敵として古巣ヤ軍が立ちはだかる。「(ヤ軍戦になっても)もうね、打席に立てば打つだけです。それ以外ないです」と宣戦布告。過去と決別し、前だけを見つめる視線に揺らぎはなかった。

 <松井に聞く>
――エ軍移籍決断へのプロセスは。
 「ヤンキースで長い間プレーしてたのでその強い気持ちもあったが、とにかく自分の希望をかなえてくれる、と。そういう大きな心で迎えてくれたエンゼルスに行きたいと思った」
――ひざの状態と、来季の外野守備は。
 「ひざの状態は年々良くなってる。守備はキャンプでどのくらいできるか確かめ、チームと相談しながらやっていきたい。とりあえずはDHになるでしょうけど、そこから少しずつ増やしていきたい。ひざさえ良ければある程度できると思う」
――ロサンゼルス、カリフォルニアの印象は。
 「高校時代に初めて海外に来たのがここロサンゼルスだった。高校選抜の一員でプレーして、その時の印象が凄く残っているし、そういう縁もあったんじゃないかな」
――1年契約だが、後がないという不安は。
 「それは全くないです。とにかく自分の一番いいプレーを出すだけ」
――ヤ軍のチームメート、球団、ファンへ今どのような思いがあるか。
 「長い間一緒にいたし、もう感謝の気持ちだけです。直接伝えられてないけど、僕の気持ちは変わらないです」
――ソーシア監督の野球と人柄への印象は。
 「投手、打撃、走塁すべてにおいてスキがない野球を目指し、それを実践されている。対戦して非常に強いチームだった。人柄は笑顔を絶やさずに冗談も多い。たまに本気か冗談なのか分からないけど、たくさん接して見極めていきたい」
――正式契約を終えホッとした気持ちか。
 「これで気持ちも完全に来年へ向かうわけですから。ホッとしたというより楽しみだな、と」
 

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2009年12月18日のニュース