ブレイディー 重病の母にささぐMVP QB単独最多5度目制覇

[ 2017年2月7日 05:30 ]

第51回スーパーボウル   ペイトリオッツ34―28ファルコンズ ( 2017年2月5日    テキサス州ヒューストン=NRGスタジアム )

ペイトリオッツのブレイディーと家族(AP)
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 ペイトリオッツが史上初めてとなった延長戦の末にファルコンズを下し、2年ぶり5度目の優勝。第3Q序盤で25点差をつけられながら“奇跡”を満載したドラマチックな展開の中で史上最大の逆転劇を成し遂げた。最後までチームを引っ張ったQBトム・ブレイディー(39)が記録ずくめの成績を残して4度目のMVP。スタンドではがんで闘病中の母ギャリンさん(72)が見守っていたが、息子は逆境を見事にはねのけてNFLの頂点に立った。

 第3Qの序盤で3―28。「勝者となる姿が想像できなかった」とブレイディーは頭を抱えた。それでも「うちのオフェンスは波に乗れば防御不能」と前を向いた第4Qに試合は激動。フ軍守備陣がはたいたはずのボールは相手の手と足に当たって空中にとどまり、それをWRエデルマンが地面まで1センチのところで拾いあげる「ザ・キャッチ」を演じて勢いに乗った。これが残り57秒での同点劇に直結。第4Qでは2点コンバージョンを2度成功させ、試合は振り出しに戻った。そして延長では最初の攻撃権を握り、最後はRBホワイトが残り2ヤードを突破。連続31点という猛攻で激闘は幕を閉じた。

 ブレイディーのパス試投(62)、成功(43)、獲得ヤード(466)はいずれも史上最多。スーパーボウルの最大逆転は10点差だったが、それもはるかかなたに追いやった。

 「母にささげるための試合にする」。ブレイディーはそう語っていた。ボストン・グローブ紙はペ軍クラフト・オーナーが試合前、ブレイディーに対し「我々は君のお母さんのために勝たねばならないのだ」と激励していたことを報じた。同オーナーは「ギャリンさんは抗がん剤と放射線治療を受けている」と語っており、それはブレイディーにとって今季最大の関心事でもあった。

 息子が出た過去6回のスーパーボウルをすべてスタジアムで観戦したギャリンさんは客席で祈っていたと言う。症状は重く今回は応援できるかどうかは微妙だった。しかし母もまたファイター。気力を振り絞ってのヒューストン入りは背番号12を支え続けた。そしてその祈りは息子だけでなくペ軍の全選手を奮い立たせた。

 「一生忘れない一日になった。」QBとして優勝5回も史上最多。T・ブラッドショー(元スティーラーズ)とJ・モンタナ(元49ers)という偉大なQB(優勝4回)を、ブレイディーは母とともに追い抜いた。

 ◆トム・ブレイディー 1977年8月3日生まれ。カリフォルニア州サンマテオ出身の39歳。ミシガン大から00年ドラフトの6巡目に指名されてペ軍入り。1メートル93、102キロ。年俸は2050万ドル(約23億円)。妻はスーパーモデルのジゼル・ブンチェン(36)で、2人の間には4歳になる長女がいる。

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2017年2月7日のニュース