リオ金の高橋礼華 東京五輪へ気持ちを向かわせたレスリング伊調の言葉

[ 2017年1月18日 15:34 ]

東京五輪への意欲を示した高橋礼華
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 1カ月前のモヤモヤした気持ちはもうすっかり晴れたようだ。バドミントンのリオデジャネイロ五輪女子ダブルス金メダリストの「タカマツ」の高橋礼華(26=日本ユニシス)は17日に都内で行われたトークショーに参加した後、取材に応じた。

 「1年1年ではなく、東京を目指したい。若手に譲る気はありません。自分たちで出て、金メダルを獲って終わりたい。私は東京五輪にこだわります。東京で最強の自分を見てみたい」

 勢いのある言葉が次々と飛び出してきた。それらは20年東京五輪で2連覇に挑む決意の表明だった。

 高橋と松友美佐紀の2人はリオ五輪を終えて、昨年10月には早々と東京五輪を目指すことを宣言した。五輪後も休むことなく試合に出場し続け、今後4年間戦っていくことに何の迷いもないようにも見えた。だが、16年最後の国際試合となった12月半ばのスーパーシリーズファイナル(ドバイ)を2位で終えて帰国した高橋は「負けたらどうしよう、(準備不足を理由に)負けても仕方がないという気持ちがあった。リオまでは絶対に金メダルを獲ってやるというワクワクした気持ちしかなかったのに…。少し考えたい」と不安げな表情を浮かべていた。

 東京五輪へ向けて、もう一度以前のような気持ちを取り戻せるか。年末年始は約10日間バドミントンから離れて、奈良の実家でゆっくりと過ごし、今後の競技生活についてじっくり考えた。東京五輪がぼんやり目標として見えてきたのは家族や友人にリオでの活躍を祝ってもらった時だ。「(五輪が)東京であるなら、(金メダルを獲得する姿を)見せたいな」。そして東京五輪を明確な目標として捉えられるようになったのは、ある記事を読んだことからだった。それはレスリング女子で五輪4連覇した伊調馨のもの。まだ進退を明確にしていな伊調は20年に地元東京で開催される五輪の存在が競技継続を決める要因にならないという趣旨の発言をしていた。

 「(20年東京五輪挑戦を決断する上で)一番大きかったのは伊調さん。私(の思い)は違うなと思ったんです。東京は特別です。だからやってみたい。4年は長いなと思っていたけれど、やってもあと4年。2連覇して、伊調さんのような歴史を作りたいと思いました」

 伊調の考えを知って、逆に自分の思いが明確になった。多くの地元ファンが注目する東京だからチャレンジしたい、20年という区切りがあるから頑張りたい、と。

 そういえば、リオ五輪決勝の最終ゲーム、16―19と追い込まれた時、救ってくれたのも伊調だった。高橋は前日に逆転勝ちした伊調のことを思い出し「ここからでも逆転はあり得る」と気持ちを切り替えて、5連続ポイントして大逆転勝利をもぎ取った。高橋にとって、伊調は競技人生の重要な局面に登場する、不思議な縁のある選手のようだ。(柳田 博)

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2017年1月18日のニュース