遠藤 白鵬に初勝利!919日ぶり金星で三役昇進へイッキ

[ 2016年11月19日 05:30 ]

大相撲九州場所6日目 ( 2016年11月18日    福岡国際センター )

白鵬を寄り切りで下す遠藤

 結びで人気力士の東前頭3枚目・遠藤が横綱・白鵬を立ち合いから一気の寄りで初めて撃破し、4勝目を挙げた。14年夏場所4日目の鶴竜戦以来919日ぶりとなる2個目の金星。長らくケガに悩まされ続けていたが、前半戦だけで1横綱3大関を破る大活躍で悲願の三役昇進へ上昇気流に乗っている。綱獲りの豪栄道は小結・玉鷲の突き落としに屈し、初黒星。唯一の全勝で単独トップに立った鶴竜を追う1敗は白鵬、豪栄道ら8人となった。 【関係記事6面】

 不屈の精神力で本物の強さを手に入れた遠藤が電車道の相撲で白鵬を倒した。立ち合いで右から張られたが「ひるまずに前に出ようと思った」と一気に土俵際まで押し込んで得意の左差し。その瞬間、浮かんだ感情は「がむしゃらに出るしかない」だった。弓なりにのけ反ってこらえる横綱に対し、相撲人生の全てを懸けるほどの気持ちで、寄り切った。わずか4秒で決着がついた結びの波乱。いつもは無表情で花道を引き揚げる端正なマスクから思わず笑みがこぼれた。

 「うれしいです。こういう日を迎えられるように耐えてきた。これに満足せずにもっと前を見てやっていきたいと思います」。昨年春場所に左膝のじん帯と半月板を損傷。その後、右足首も痛め半年前には十両陥落も経験したが、必死に耐え忍んで復活を目指した。14年夏場所4日目の鶴竜戦以来919日ぶりの金星獲得で、白鵬戦は5回目の挑戦で初白星。大きな挫折を乗り越えた男の努力が実った瞬間だった。

 ケガについて遠藤は「マイナスの方が大きい」と断言するが、師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)は「ケガ以外のことでプラスアルファもあった」と分析した。ケガ以前の体重は140キロ台だったが、体重増加の必要性を自覚。ここ半年は深夜に焼き肉店に出向くなどして“無駄な肉”を意識的に増やし、現在は154キロとなった。師匠は遠藤の元来の性格は「アスリート系。相撲だけの生活で時間もシビア」と表現するが、それだけで勝てるほどプロの世界は甘くないと言う。「お相撲さんは勝負師で、アスリートは勝負師に負ける。バランスも必要だが、夜中に腹いっぱい食べたり飲んだりするのがお相撲さんだ」と追手風親方。そういう意味でここ半年の遠藤は本物のお相撲さんになる過程を歩んでいた。立ち合い一発に懸けたこの日の相撲は、まさに勝負師の魂が宿っていた。

 取組を終えどんな景色が見えたか?と問われた遠藤は「明日の一番しか考えてない」と一言。7日目に鶴竜にも勝てば2横綱3大関撃破で、5人の大関以上を破った平幕力士は昭和以降4例のみだ。ケガを乗り越え、一皮も二皮もむけた26歳のお相撲さん。三役昇進へ、真価が試されるのはこれからだ。

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