次代エース候補だ樋口 15歳GPデビューいきなり3位

[ 2016年11月14日 05:30 ]

フィギュアスケート GPシリーズ第4戦フランス杯最終日 ( 2016年11月12日    フランス・パリ )

フリーの演技を行う樋口(AP)

 シニアのGPデビューとなった樋口新葉(わかば、15=日本橋女学館高)が、好演技で3位に入った。女子フリーで129・46点、合計194・48点でともに自己ベストをマークし、ショートプログラム(SP)5位から浮上。浅田真央(26=中京大)は合計161・39点でシニア参戦後、全大会を通じて自己ワーストとなる9位に終わり、12月のGPファイナル(フランス・マルセイユ)進出の可能性が消えた。

 プリンセスに成り切った15歳は、疲労とは無縁だ。「息切れを感じなくて、脚も疲れないように感じた。よく集中できた証拠かな」。シニアGPデビューの樋口が、フリー「シェヘラザード」で好演技を披露。演技後半の3―3回転が単発の1回転になったが、ミスを1つにとどめて自己ベストをマーク。最終滑走・デールマンの得点が伸びずに表彰台が決まると、「乗れると思っていなかったのでうれしい」と初々しい笑みを浮かべた。

 全日本選手権で14年3位、15年は2位。次代のエース候補は今季、新境地を切り開く。自身初めてSP、フリーともに海外の振付師によるプログラム。オフには海外のコーチにダンスのレッスンを受け、慶大でチアガールとして活動するスケートクラブの先輩からは笑顔の極意を教えてもらった。「表情が変わった。演技で笑うなんて今までなかった」と岡島功治コーチは言う。5項目の演技点ではメドベージェワに次ぐ全体2位。シニアのGP初戦でも、表現力は高く評価された。

 15歳の素顔は気が強くて、あまのじゃく。岡島コーチから「やれ」と言われても素直に取り組まないが、「やらなくていい」と突き放されると懸命に汗を流す。11日のSP前の公式練習では、「先生、顔が怖いよ。焦ってるでしょ~」と言い放った。「生意気だし、言い返されることなんてしょっちゅうですよ」と同コーチは苦笑いを浮かべるが、勝負の世界に生きるならこんな一面があっていい。

 優勝したメドベージェワは友達であり、ライバル。SNSで交流し、試合やアイスショーで会えば、英語で仲良く話す。今大会は27・06点の大差をつけられたが、18年平(ピョン)昌(チャン)五輪に向け、その背中を追いかける。トリプルアクセル、4回転サルコーも練習中だ。「完璧な演技がいつもできるようにしたい。きょう(12日)がスタート」。最高峰の舞台を夢見て、15歳が加速する。

 ◆樋口 新葉(ひぐち・わかば)2001年(平13)1月2日、東京都出身の15歳。新世紀の始まりに、新宿区で生まれたことが、名前の由来。3歳でスケートを始め、世界ジュニア選手権は15、16年に銅メダルを獲得した。好きなスケーターは10年バンクーバー五輪金メダルのキム・ヨナ(韓国)。1メートル52、46キロ。

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