金メダルはどんな金属で作られているのか知っていますか?

[ 2016年11月14日 10:15 ]

東京五輪・パラリンピックの金メダルはリサイクル金属を活用する(写真は4個目の金メダルにを手に笑顔の伊調)

 【藤山健二の独立独歩】20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は9日の理事会で、不用になった携帯電話などの小型家電から抽出されるリサイクル金属を活用してメダルを製作する「みんなでつくる!エコメダルプロジェクト(仮称)」を承認した。リサイクル金属でメダルを作った例は他の五輪でもあるが、メダル製作を目的として国民に広くリサイクルを呼びかけるのは初めての試みで、トラブル続きの東京五輪にとっては久々のヒットとなりそうだ。

 金メダルが純金だけで作られているのではないことはすでにほとんどの人が知っていると思うが、ではいったいどんな金属で作られているのだろうか。メダルはだいたい1つ400グラム(今回のリオデジャネイロ大会は500グラム)で、国際オリンピック委員会(IOC)は「金メダルには最低6グラムの金を使用すること」と定めている。残りの394グラムは何でできているのかと言うと、実は銀と銅でできているのだ。12年ロンドン大会を例に取ると、金6グラムの他には銀370グラムと銅24グラムが使われている。ちなみに銀メダルは銀370グラムと銅30グラム、銅メダルは銅388グラムに亜鉛10グラム、すず2グラムとなっている。

 東京でも同じ組成のメダルを金銀銅合わせて5000個製作するとすると、単純計算で金4300万円、総額で1億1500万円程度が必要になる。もちろん製造工程では材料ロスが発生するから、実際にはこの3~4倍の原材料が必要になる。リサイクルでも費用はかかるが、直接貴金属の販売業者から購入するより安いし、日本だけでなく世界中でリサイクルへの関心が高まれば、高額な施設建設やインフラ整備などとは比べものにならないレガシーとなるに違いない。

 日本が誇るエコ技術はまだまだ他にもたくさんあるはずだ。これを機に五輪に関するあらゆる分野でもっともっと最新の技術を導入してほしい。バレーボール会場やボート・カヌー会場など施設整備費の高騰が問題となっているが、リサイクル資材や廃材を活用したり、安価でコンパクトな工法を取り入れるなど、経費削減のためにできることはまだまだあるのではないか。これが民間企業なら1円でも安くなるように文字通り骨身を削って努力する。発表のたびに見積もりが数十億円単位で上下するなどということは考えられない。知恵を絞り抜き、そこで生み出された新しい技術こそが、前回から半世紀以上たって開催される新しい東京五輪の本当のレガシーになるはずだ。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

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