【貴乃花親方・哀悼文】下積み時代に賜った激励の言葉…今も胸に

[ 2016年8月1日 05:30 ]

貴乃花親方・花田景子夫妻

元横綱千代の富士・九重親方死去

 九重親方死去の報を受け、貴乃花親方(元横綱)が本紙に哀悼の意を寄せた。入門当時から憧れのまなざしで背中を追いかけた大横綱。「早く上に上がってこい」という言葉を励みに91年夏場所で勝利した当時の思い出や、現在の心境などを赤裸々につづった。

 哀悼の意

 今は厳粛に静粛に受け止めています。

 時が過ぎ去るのは無常にも早いものです。入門したての私は離れた場所から横綱・千代の富士関を遠目に拝見していたのを昨日のように感じております。現役時代には胸をお借りし、鋼の肉体に額を恐る恐る当てたことも忘れていません。まだ下積み時代に横綱から“早く上に上がってこい”と激励のお言葉を賜ったことも忘れていません。

 本日、巡業初日の猛暑のなかに悲報が訪れたことは過ぎ去りし日の残酷な夏をも感じています。少年時代の夏の思い出が一気に消えたかのようで、幼い頃の童心が風に吹かれて浮遊してしまったかのようです。

 今年3月の理事長選挙の際にも、私のような若輩者に人生を懸けてお守りいただけたことは生涯の誇りとなります。九重親方と最後にお話ししたことを鮮明に覚えています。かたくなな私の心を抱きしめてくださいました。人知れずご苦労を抱えてこられた勇気。心の広い方だと改めて痛感した瞬間でした。北の湖前理事長も、九重親方も、父である初代・貴ノ花も肉眼ではそのお姿が見えなくなり、私の心は暗闇に迷い込んだかのようです。むなしく、寂しいです。

 今はご遺族に哀悼の意をささげております。その思いはこれからも何ら私の心は変わりません。

 貴乃花光司

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2016年8月1日のニュース