無言の帰宅…佐ノ山親方“父”九重親方の手を握り「本当に寂しくなる」

[ 2016年8月1日 05:30 ]

九重親方との思い出を語る佐ノ山親方

元横綱千代の富士・九重親方死去

 九重親方の遺体は都内の病院から午後8時12分に東京都墨田区の九重部屋に久美子夫人や長男・剛さんら家族とともに戻ってきた。

 部屋の玄関前では部屋付きの佐ノ山親方(元大関・千代大海)や幕内・千代の国ら所属力士が迎えストレッチャーに乗せられた亡き師匠を部屋の中に運び込んだ。悲しみの対面をした佐ノ山親方は「本当に寂しくなる」と目に涙を浮かべた。

 愛弟子の佐ノ山親方は九重部屋で取材に応じ、「血のつながりはないが、父親としてずっと思っていた」と声を絞り出した。この日、九重親方とは病院で面会したが、すでに意識はなかったという。「声を掛けても反応しなかった。名古屋場所の朝稽古で力士を指導していたのが最後の言葉でした。(帰ってきた遺体と)手を握りながら“ありがとうございました”と言いました」と話した。

 若い頃、ケンカに明け暮れた悪ガキだった佐ノ山親方。金髪にそり込みを入れて、入門を申し込みにいくと九重親方に「その頭を何とかしてこい」と一喝された。心を入れ替えて弟子入り。師匠の厳しい指導で、番付を駆け上がり、大関まで昇進した。

 現在、九重部屋付き親方として弟子の指導に当たっているが「生前時、次におまえが引っ張っていけと言われていた。これから不安にならないように頑張らせていただきます」と決意を述べた。

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