貴に引導、貴から引導…角界“世代交代”数奇なめぐり合わせ

[ 2016年8月1日 05:30 ]

91年5月12日、横綱・千代の富士(左)を寄り切りに破った貴花田

元横綱千代の富士・九重親方死去

 「角界のプリンス」と呼ばれた人気大関貴ノ花(のち二子山親方、故人)を引退に追い込み、その息子で「若貴ブーム」の主役だった貴花田(のち横綱貴乃花)に敗れたことが土俵を去るきっかけになった。千代の富士には、この親子との世代交代のドラマがあった。

 1980年九州場所3日目。三役に定着した25歳の千代の富士は30歳の大関貴ノ花を一方的に破った。「タバコをやめれば体重が増えて強くなれる」と同じ軽量で苦しんだ貴ノ花にアドバイスを受け、禁煙したというのは有名なエピソードだった。

 それから10年たった91年夏場所初日。35歳の千代の富士は18歳の貴花田と対戦し、若武者の寄りに屈した。その2日後、貴闘力に敗れて引退を表明。出世のきっかけをつくってくれた“恩人”の息子を後継者と見定め、潔く土俵を去った。

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2016年8月1日のニュース