V争い混戦…琴奨菊12連勝でストップ、重圧初黒星「あ~クソ!」

[ 2016年1月23日 05:30 ]

豊ノ島(奥)にとったりで敗れた琴奨菊

大相撲初場所13日目

(1月22日 東京・両国国技館)
 大関・琴奨菊の連勝がついに止まった。2敗の豊ノ島との同期生対決で気負い過ぎ、とったりで転がされた。36回目の優勝を狙う横綱・白鵬は鶴竜を送り出して1敗で琴奨菊と並び、横綱としての勝利数でも昨年11月に急逝した北の湖前理事長の最多記録670勝に並んだ。2敗で日馬富士、豊ノ島が追い、優勝争いが混戦になってきた。

 10年ぶりの日本出身力士優勝の過程を見届けようとにぎわう国技館がため息に包まれた。単独トップを走っていた琴奨菊に土がついた。豊ノ島に右腕を取られて転がされ、西の土俵下まで転がり落ちた。立ち合いは右を固めて左おっつけ。狙い通りに右をのぞかせながら前へ出る。だが、ここで左足が2度も流れた。前のめりの体勢で、とったりを食らい、踏ん張れなかった。

 砂まみれの体で必死に無表情を装おうとしても我慢できたのは花道の途中まで。下唇をかんで悔しさをにじませた。さらに東支度部屋に戻っての第一声は「あ~、クソ!」。風呂場で「あ~クソ!あ~!あ~!」と痛恨のうめき声を何度も繰り返した。散々わめき、悔しさも洗い流したのか、風呂から出た後は冷静だった。

 「踏み込みは良かったけど(相手と)距離があった。そこだけ。いい立ち合いをしようと執着し過ぎたのかも。ちょっと気持ちが入り過ぎた」

 豊ノ島とは20年以上もの付き合いがある。最初の出会いは小4のわんぱく相撲全国大会。中学から高知・明徳義塾へ進学し、同県でライバルとして、しのぎを削った。そして初土俵も02年初場所で同じ。「当時は“関取になれたらいいね”と話していた。幕内の土俵で優勝争いするとは…。いろんな意味で熱くなる相手。一番いい立ち合いをしたい」。あまりにできすぎた“舞台設定”に気負ったのも無理はない。稽古では横綱3連破の疲労を感じさせずに元気いっぱいで、普段より20キロ重くしたダンベルを軽々と振り上げていたが、落とし穴にはまり込んだ。

 それでも白鵬に並ばれたとはいえ、依然として優勝争いトップ。八角理事長(元横綱・北勝海)は「これが初優勝へのプレッシャーだ。あす(14日目)が大切になる。やってきたことを出し切って駄目なら仕方がない。開き直りが大事」と奮起を促した。本人も十分承知。「もちろん、しっかり切り替えたい」。最古参大関が真価を問われる残り2日間に挑む。

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