ロンドンの雪辱を 異種格闘技戦「JUDO」に挑む日本柔道

[ 2016年1月9日 08:25 ]

沖縄相撲を体験する100キロ級の羽賀(右)

 沖縄の1月はもう桜のつぼみがふくらみ始める季節である。冬の寒さに縮こまっていた体は自然とほぐれ、稽古を始めた選手たちの体を汗が伝う。柔道の日本男子はこの場所から五輪イヤーのスタートを切った。

 柔道男子は12年ロンドン五輪で史上初の金メダルゼロという惨敗を喫し、8月のリオデジャネイロ五輪は捲土(けんど)重来を期す舞台である。代表率いる井上康生監督は、今年のチームのテーマを「開花」に決めた。これまでにも「醒新一到(せいしんいっとう)」「変化と進化」「克己」と1年ごとにスローガンを掲げてきた。今年は「選手には3年間つくり上げてきたものを五輪の年に全て放出して成功を収めてほしいと話をした」と練習の成果を花開かせる五輪イヤーである。

 この合宿では砂浜で沖縄角力(おきなわずもう)を体験するカリキュラムも組まれた。これは合宿地ならではの文化を学ぶという狙いだけでなく、「現在のJUDOは世界中の組み技格闘技の複合体である」という井上監督の考えに基づいている。

 これまでもロシアの格闘技であるサンボの指導者を招いたり、昨年のブラジル合宿ではブラジリアン柔術を学ぶ機会も設けた。モンゴル相撲やジョージアのチタオバ、韓国シルムなど世界中に組み技系格闘技は山ほどある。そうした素地を持つ選手が世界各国から現れ、結果を残し、技術的な枠組みを押し広げてきた。

 13年からは手を使った下半身への攻撃が禁じられた柔道は、レスリングのタックルのような攻めが消え、きっちり組むことが奨励されるルールとなっている。それは確かに組み技世界一決定戦という見方もできるのだ。

 いまや世界的な競技となった「JUDO」というフォーマットで争われる異種格闘技戦。そこに古き伝統と一本勝ちの理想を掲げて乗り込む日本柔道の強者(つわもの)たち。果たしてリオではどれだけの選手が桜の花を咲かせることができるだろう。 (雨宮 圭吾)

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2016年1月9日のニュース