時天空 悪性リンパ腫 初場所休場、幕下陥落必至も克服誓う

[ 2016年1月9日 05:30 ]

悪性リンパ腫で闘病中の時天空

 大相撲の元小結で東十両9枚目の時天空(36=時津風部屋)が悪性リンパ腫で闘病中であることが分かった。師匠の時津風親方(元幕内・時津海)が8日、都内の部屋で会見を開いて明らかにした。昨年九州場所に続き、10日初日の初場所(両国国技館)を休場し、治療に専念する。春場所で幕下への陥落は必至ながら、師匠は現役続行に含みを持たせた。

 柔道経験を生かした足技などで存在感のあるベテラン・時天空が大病と闘っていた。部屋で会見した時津風親方は複雑な表情で愛弟子の近況を明かした。「悪性リンパ腫で抗がん剤による治療を受けています」

 同親方によると、時天空は昨年7月の名古屋場所中から肋骨付近の痛みを訴え、病院の検査で肋骨にひびが入っていると診断された。その後もたびたび痛みを感じ、続く秋場所では終盤に激痛に襲われ、眠れない夜もあったという。千秋楽まで強行出場した後にあらためて別の病院で検査を受け、病気が判明。毎年、人間ドックを受診するなど健康管理には注意していただけに「(病名を)聞かされた本人が一番つらかったと思う」と気遣った。

 都内の病院で10月末から入退院を繰り返し、年明けから4月まで抗がん剤治療に専念する。体重は15~20キロ減ったが経過は良好で「普通に話しているし、歩いているし、食事も取れている」と同親方。モンゴルから駆けつけた両親にも励まされ、本人は「同じ病気と闘っている人もいる。頑張って克服したい。ファンや皆さんに迷惑をかけますが温かく見守ってください」と前向きに闘病生活を送っているという。

 初場所を休場し、次の春場所は幕下への陥落が必至。その春場所も治療期間に含まれる。同親方は「今後については現役続行も含め、よく話し合って決めたい」と本人の意思を最大限に尊重する方針だ。それでも愛弟子が相撲にかける情熱を知る師匠は現役続行の可能性にあえて言及した。同じ悪性リンパ腫を克服した陸上長距離の糟谷悟(トヨタ紡織)が年明けのニューイヤー駅伝でエース区間の4区を力走した話題に触れ「そういう例もある」

 36歳のベテランは場所中も朝は必ず稽古場に下りて汗を流した。昨年夏場所は十両で相撲を取ったが不断の努力で1場所で幕内に復帰した。大病が相手でも、乗り越えられると信じて闘い続ける。

 ◆時天空 慶晃(ときてんくう・よしあき)1979年9月10日、モンゴル・ウランバートル生まれの36歳。モンゴル時代は柔道に打ち込み、00年に留学した東農大で相撲を始める。3年時に時津風部屋に入門し、02年名古屋場所で初土俵を踏んだ。04年名古屋場所で新入幕。最高位は東小結。14年1月には日本国籍を取得し、年寄名跡「間垣」を所有している。1メートル85、141キロ。

 ▽悪性リンパ腫 血液中を流れたり、体の中を巡っているリンパ組織の悪性腫瘍(がん)の一つ。血液のがんの一種ともいえる。首や脇の下などのリンパ節が腫れたり、腫瘤(しゅりゅう)ができたりすることが多い。他の症状としては発熱、体重減少、倦怠(けんたい)感、かゆみなども出る。主に放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)を適用し、高い確率で治癒を目指せる。

 ▼横浜市・福田医院福田伴男院長 手術をせずに済むのであれば、早期発見だったということでしょう。最近は抗がん剤も発達し、よく効きます。髪の毛が抜けることはありますが、抗がん剤治療で治るでしょう。完全に治癒すれば、相撲もできる。ただ、体重減少が伴うので、どこまで体を戻せるのか。定期的な経過観察も大事になります。

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