男女団体アベックVで締めた 女子2年ぶり頂点、男子は2連覇

[ 2015年8月31日 05:30 ]

女子団体で優勝し表彰式で金メダルを手に笑顔の(前列左から)松本薫、山本杏、中村美里、近藤亜美(後列左から)山部佳苗、ヌンイラ華蓮、(1人おいて)新井千鶴、(1人おいて)田代未来

世界柔道最終日

(8月30日 カザフスタン・アスタナ)
 日本が団体アベックVで締めた。前回3位の女子は52キロ級金メダルの中村美里(三井住友海上)らが活躍。決勝でポーランドを5―0で下し、全員が無敗のまま2年ぶりの優勝。男子は81キロ級で世界一となった永瀬貴規(筑波大)らが踏ん張り、韓国との決勝を3―2で制して、2連覇を達成した。

 最後まで手綱を緩めず、日本女子が無敗で本家の底力を示した。経験豊富な先鋒(ぽう)の中村が気迫のこもった闘いで流れを呼び込み、21歳トリオの山本、田代、新井ら若手が躍動。4試合全て5―0の圧勝で頂点へ駆け上がった。南條監督は「一番の功労者は中村。若い世代もよくやった」と誇らしげに選手を称えた。

 ロンドン五輪57キロ級女王の松本らは控えに回ったが、3度目の世界女王に輝いた中村が「勝利で次につなげる思いだけだった」と初戦から激闘を演じた。その背中を追うように、63キロ級銅メダルの田代や70キロ級5位の新井が「個人戦の悔しさを思い切りぶつけた」と奮闘。決勝の最後は大将の山部が豪快な払い腰で締めくくった。

 1月に死去した斉藤仁前強化委員長をしのび、南條監督は「一緒に闘うつもりだった」と写真を胸に大会に挑んだ。表彰式で57キロ級の山本がその写真を掲げて君が代を聴いた。2大会前は暴力指導問題に揺れる中、個人戦で22年ぶりの金メダルゼロに終わった。屈辱の後の団体戦で意地を示した。それ以来の優勝にチームは充実した笑顔で歓喜を分かち合った。

 ≪王子谷が決めた≫2―2の接戦となった韓国との男子の決勝。命運を託されたのは団体戦要員で100キロ超級の王子谷だった。中学時代から大将戦は経験豊富で「子供の頃から団体戦が大好き。今も燃える」と重圧を苦にしない。実力者相手に得意の大外刈りを何度も仕掛け、指導1の差で逃げ切ると、汗いっぱいの体を井上監督に強く抱かれた。金メダルゼロと惨敗した12年ロンドン五輪。重量級コーチだった井上監督は「あの時の屈辱は一生忘れない」という。威信回復を目指すリオ五輪に向け今大会は各階級の底上げを感じさせた。それでも、「今回勝てたのは大きいが、来年の五輪へ危機感を持ってやるしかない」と気を引き締めた。

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