伊藤舞 日本勢最高7位、女子マラソン最年長で五輪切符

[ 2015年8月31日 05:30 ]

女子マラソンで7位でゴールし日の丸を背に笑顔を見せる伊藤

世界陸上最終日 女子マラソン

(8月30日 中国・北京 永定門発、国家体育場着 午前7時30分のスタート時の天候=曇、気温21度、湿度88%)
 マラソン11度目のベテランの伊藤舞(31=大塚製薬)が2時間29分48秒で日本勢最高の7位に入賞し、来年のリオデジャネイロ五輪代表に決まった。陸上では女子第1号となり、リオ五輪レース当日は32歳83日で08年北京五輪・土佐礼子の32歳67日を抜く最年長記録となる。メダルの期待を背負った前田彩里(23=ダイハツ)は2時間31分46秒で13位。マレ・ディババ(25=エチオピア)が2時間27分35秒で初優勝した。

 飛び抜けたタイムはなくとも、伊藤はいつも我慢強く走ってきた。11度目のマラソンで粘り強さが報われた。日本人トップの7位に入り、初の五輪切符を手にした。

 「いろんなレースに出ても勝てないし、地道にコツコツやってきた。やっとオリンピックに参加できる」

 アフリカ勢が35キロで仕掛け、12人の集団から日本勢3人は脱落。ただ、伊藤は「つけなかったし、ついても最後まで走りきれないと思った」と冷静に入賞を狙った。大会初日は男子が惨敗。日本陸連の宗男子マラソン部長が「今いる選手では厳しい」と嘆いたが、女子はベテランが奮起。女子マラソン最年長での五輪代表となった。

 アクシデントを乗り越えた。4月の左足甲疲労骨折など度重なる故障に見舞われた。走れなかった2カ月間に自分を見つめ直した。「私は走り方のバランスが良くない。自転車のけんけん乗り(片方の足で地面を蹴って勢いをつけてサドルにまたがる)をできるようにしたり、3点倒立をきれいにできるようにしたり。バランスを改善してきた」

 新しい試みもした。故障の影響で、心肺機能が高められる高地トレーニングをせずにレースに臨んだ。大塚製薬の河野匡監督は「高地だと伊藤は練習を多くしてしまい、負荷がかかりすぎる」と狙いを説明。北海道で31歳の体に見合った練習量で仕上げた。“脱高地トレ”で一定の成果を残し、調整に自信を深めた。

 だが、五輪出場を決めたが、喜んでばかりはいられない。メダル争いからは完全に圏外。入賞を狙うしかなかったこの日の走りが本番での苦戦を予想させる。「もっと勝負できるように、35キロ以降に対応できるようにしたい」。出場権獲得は日本の期待を背負うということでもある。あと1年で世界との差を埋めていく。

 ◆伊藤 舞(いとう・まい)1984年(昭59)5月23日、奈良県出身の31歳。京都橘で陸上を始め、京産大4年時に全日本学生選手権の1万メートルで優勝。デンソーを退社し、09年に、大塚製薬に入りマラソンを始める。自己ベストは、2時間24分42秒。世界選手権は、2度目の出場で、前回11年大邱大会は22位。1メートル56、40キロ。

 ▽女子マラソンのリオ選考 伊藤が1枠をつかんだため、残り2枠を3つの選考レースで争う。選考レースは(1)さいたま国際マラソン(11月)(2)大阪国際女子マラソン(16年1月)(3)名古屋ウィメンズマラソン(16年3月)。各レースの日本人3位以内の選手から、「(1)日本陸連の設定タイム2時間22分30秒を切った選手(2)各レースでの記録、順位、展開などを総合的に判断」の順で選考する。

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