IOC会長が新国立の白紙撤回容認 公約より経費削減を重視 

[ 2015年7月19日 18:24 ]

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画が白紙撤回となったことに対し、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は決定を容認する姿勢を示した。背景には招致活動段階での「国際公約」よりも、開催コスト削減を重視する方針がある。

 「デザインは重要ではない。合理的な費用で素晴らしい大会が開催されると確信している」。計画見直しについて問われたバッハ会長は18日、変更自体は問題視しない考えを示した。

 開催計画はいわば「国際公約」。招致活動で東京はザハ・ハディド氏がデザインした競技場を積極的にアピールした。開催都市を決めた13年9月のIOC総会では、安倍晋三首相自らが「ほかのどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」の建設を約束した。

 一方、現在IOCにとっての最重要テーマの一つは開催経費の削減だ。昨年のソチ冬季五輪では多額の費用が会場やインフラ整備に投じられ、22年冬季五輪招致では財政不安などで立候補都市が相次いで撤退した。危機感を持ったIOCは昨年12月、コスト削減などを促進する改革「五輪アジェンダ2020」を承認した。

 04年アテネ五輪では、新設会場の多くが有効利用されなかった。1976年モントリオール五輪では巨額の負債が残るなど、失敗例もある。20年五輪招致で評価委員長を務めたリーディー副会長は「五輪改革のテーマであるコスト削減に沿った見直しの方がより重要だ。過去の五輪でも計画の変更はよくあった」と説明した。

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2015年7月19日のニュース