岩田「ここが勝負」の17番 セベの名言で攻めてV

[ 2015年7月6日 05:30 ]

10番、ティーショットを放つ岩田

男子ゴルフツアー スポニチ後援長嶋茂雄招待セガサミー・カップ最終日

(7月5日 北海道千歳市 ザ・ノースカントリーゴルフクラブ=7167ヤード、パー72)
 3位から出た岩田寛(34=フリー)が6バーディー、ボギーなしの66をマークし、通算16アンダーで昨年9月のフジサンケイ・クラシック以来となる通算2勝目を挙げた。普段はシャイで心優しい男が、勝負どころでゴルフ史に残る伝説のプレーヤー、セベ・バレステロスさんの名言を思い出し、今平周吾(22=フリー)を1打差で振り切った。
【最終R成績】

 2位に1打差と迫られていた17番パー4。岩田のスイッチがパチンと入った。「ここが勝負だと思った」。同組で2位だった今平が第2打を8Iで8メートルもショートさせたのを見て「あれを見ていなかったら、9Iで打っていた」と岩田。自身は残り157ヤードの第2打を8Iでピン右1・5メートルにつけてバーディーを奪い、そのまま逃げ切った。

 普段は「相手に失礼だから」とバーディーを奪ってもガッツポーズなどは一切しない気遣いの男。昨年11月のダンロップ・フェニックスで松山英樹との優勝プレーオフに敗れて2位に終わったことを振り返り「僕は優しすぎるんですかね。彼の気迫を見習いたい」。当時は“気迫負け”した格好だったが、もう同じ轍(てつ)は踏まない。「17番では昔、雑誌で読んだセベ・バレステロスさんの“優勝争いしている相手の喉元にかみつくつもりでプレーする”という言葉を思い出した」と闘争心をムキ出しにして、執念で優勝をつかみとった。

 小学生時代は野球に打ち込み、大会の名誉会長でプロ野球巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏(79)と同じ三塁手を務めたこともある。「ジャンピングスローをまねしていた」という憧れのミスターの前で優勝のみならず、ドライビングディスタンス賞(297・50ヤード)、さらに獲得バーディー、イーグル数などをポイントに変換し、4日間の合計ポイントで争われる長嶋茂雄賞の“3冠”に輝いた。

 昨年11月の世界選手権シリーズ、HSBCチャンピオンズで3位に入ったことでフェデックス・カップ・ポイントを162ポイント分獲得。これにより、今年9月に始まる米ツアーと米下部ツアーの入れ替え戦に出場できる見込みで、海外志向の強い岩田は「入れ替え戦に出ます」と明言した。入れ替え戦は計4戦で争われ、その4戦だけの賞金ランクで上位25位に入ると来季の米ツアーの出場権が獲得できる。さらに「五輪ってなかなか経験できるものではないし、意識はする」と16年リオデジャネイロ五輪出場にも意欲。現状では松山に次ぐ2人目の出場枠を世界ランク101位の小田孔と105位で争っている。初優勝から1年足らずで手にした2勝目。世界に打って出るための大きな一歩となった。

 ◆セベ・バレステロス マスターズ2勝、全英オープン3勝、日本オープン2勝など全世界で活躍したスペイン出身のプロゴルファー。74年に16歳でプロ転向すると、2年後の76年に欧州ツアーで初優勝。同年に賞金王に輝いた。07年に競技ゴルフからの引退を表明。11年に悪性脳腫瘍による合併症のため54歳の若さで死去した。

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