稀勢 ひねった右膝問題なし、遠藤に完勝 悲願賜杯へ臨み

[ 2015年1月21日 05:30 ]

遠藤を難なく寄り切った稀勢の里(右)

大相撲初場所10日目

(1月20日 東京・両国国技館)
 2敗の大関・稀勢の里がホープの遠藤を寄り切って勝ち越しを決めた。前日の琴奨菊戦で右膝をひねったものの、全く問題なく完勝。悲願の初優勝へ、わずかな望みを残した。単独史上最多の33度目の優勝を目指す白鵬は碧山を肩透かしで下し、10連勝で単独トップをキープ。1敗で日馬富士、2敗で稀勢の里と鶴竜が追う展開となった。

 前日の取組で痛めたかに見えた稀勢の里の右膝は無事だった。「全然大丈夫です。全く問題ない」。入幕2年目の“現在のホープ”遠藤を相手に入幕11年目の“かつてのホープ”は右上手をつかんで危なげなく寄り切って勝ち越し。取組後に弟弟子の高安が「大関(膝は)大丈夫そうですね」とつぶやいたように、周囲の不安を振り払った。

 琴奨菊に突き落とされて痛恨の2敗目を喫した前日の土俵上。ひねった右膝を手で押さえながら苦悶(くもん)の表情を浮かべ、館内は悲鳴に包まれた。だが、不思議と痛みはなく、一夜明けても心配された腫れもなかった。朝稽古ではいつも通りに汗を流し、テーピングやサポーターもつけずに土俵に上がった。

 ケガに強いのは入門時の師匠だった先代師匠(元横綱・隆の里、故人)仕込みの稽古のたまものだ。来る日も来る日も厳しい指導に耐えて強い体をつくり上げ、休場したのは右足親指を痛めた昨年初場所千秋楽の1日だけ。先代が稽古場に来ていない時でも稽古量は同じだった。なぜなら「本当に怖くて、先代が住んでいる2階の玄関の鍵が“ガチャッ”と閉まる音まで(稽古場にいて)聞こえた。当時は全身が研ぎ澄まされていた。でも、それが今になっては生きている」。4年前に先代が亡くなっても、稽古は一日も休んでいない。

 前日の黒星で自力Vこそなくなったが、まだ可能性は残されている。何度も優勝争いに絡みながら大事な場面で負けて、もうホープとは呼ばれなくなった。しかし、日本出身力士で一番強いことは確か。「これからだと思います。これからが大事」。1%でも望みがある限り、諦めないのが稀勢の里の信条だ。

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2015年1月21日のニュース