萩野 個人競泳日本男子史上初3冠!“逆転型”進化し金字塔

[ 2014年9月25日 05:30 ]

<男子400メートル個人メドレー>圧巻の泳ぎで金メダルを獲得した萩野。奥は瀬戸

仁川アジア大会第6日

(9月24日)
 万能スイマーが金字塔を打ち立てた。萩野公介(20=東洋大)が男子400メートル個人メドレーを4分7秒75秒で制し、200メートル自由形、200メートル個人メドレー、800メートルリレーに続いて今大会4つ目の金メダルを獲得。個人種目での3冠は競泳日本男子初で、1大会4冠は同最多タイ。25日は5冠を懸けて、今大会最終種目の男子200メートル背泳ぎに出場する。昨年の同種目世界選手権王者の瀬戸大也(20=JSS毛呂山)は4分10秒39で銅メダルだった。

 番狂わせの予感を力強く振り払った。本職の400メートル個人メドレーで序盤からリードした萩野が300メートルをまさかの4位でターン。ここから今季強化した自由形で逆転だ。ラスト100メートルは他の選手より2秒5以上速い圧巻のスパート。4分7秒61の日本記録には届かなかったが「新しいレース展開。いいところ1割、悪いところ9割だけど、7秒台までいったんで」と淡々と振り返った。

 5位だった昨年の世界選手権は大会17レース目で、疲労により自由形で失速。今季は脈拍数を制限して設定タイムで泳ぐ練習を導入した。「持久力の練習なんで自由形にもつながる」。自由形で孫(ソン)楊(ヨウ)(中国)、朴(パク)泰(テ)桓(ファン)(韓国)と五輪王者との激闘を経て、この日の決勝が今大会11レース目。連日ドーピング検査に呼ばれ、23日は選手村へのバスが予定時刻に来ず、一般の車で帰るトラブルもあった。「(4分)10秒を切るのも難しいと思った」と言うほど疲労はあったが、練習が生きた。

 強じんなメンタルも快泳を後押しする。昨季から始まった多種目挑戦。今は大会期間中の連日の出場は日常となり「毎日レースがないと寂しい」と感じる。9月の日本学生選手権ではリレーだけの出場で、個人種目を泳がない日があった。「暇だな、やってられないなあ…」。スタンド観戦よりも休養よりも、レースを渇望している。

 個人種目で3つの金メダルは、日本男子初の偉業。25日は、今大会ラストの200メートル背泳ぎに登場する。21日の100メートルは入江に完敗して銅メダル。リベンジで5冠を達成すれば、金メダル数で日本男子最多に躍り出る。「複数種目で金メダルを目標にやっている。16年リオ、20年東京五輪でさらに大きく達成したい」。20歳の万能スイマーにとって、アジアでのマルチタイトルは壮大な夢への序章にすぎない。

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