ナイナイ岡村似 高藤 60キロ級日本勢16年ぶり世界一「スペシャル」出た!

[ 2013年8月28日 06:00 ]

男子60キロ級で初優勝し、笑顔でメダルを掲げる高藤直寿

世界柔道第1日

(8月26日 ブラジル・リオデジャネイロ)
 柔道界の未来を担う新星が誕生した。初出場の高藤(たかとう)直寿(20=東海大)が5試合を勝ち抜き、決勝ではアマルトゥブシン・ダシダワー(25=モンゴル)に優勢勝ち。男子60キロ級では97年大会の野村忠宏(ミキハウス)以来16年ぶりの世界選手権制覇となった。20歳88日での優勝は男子の歴代7位の年少記録だ。

 「少年と呼んでますよ。考えてることが子供みたいなので。くそガキですね」。今代表最年長の33歳、小野卓志は笑いながら高藤の印象を語る。井上康生監督も「手を離すとどこまでも走っていくタイプ」と評した。

 はにかんだときの表情はお笑いタレント、岡村隆史をほうふつさせる。20歳で世界一になった高藤の無邪気なさまは、まるで子供のよう。今遠征でコパカバーナビーチに出掛けた感想を求められれば「いやあ、ケツでかいんで…」とブラジル人女性の後ろ姿を思い浮かべて照れ笑い。大会前日にはツイッターで武井壮から激励メッセージをもらい喜んだ。その純心が原動力にもなった。

 そんなチャラ男も一度スイッチが入ると、視線をつり上げて勝負の鬼に変貌する。「今まで柔道をやってきたご褒美と思って好きなように動いた」。準々決勝以降、得意の小内刈りを研究されているとみるや、豪快な技を次々と繰り出した。

 「高藤スペシャル」と名付けた変型大腰。そして、柔道を始めた頃から得意とする肩車。左太腿のケガを悪化させた後の準決勝。痛み止めを飲み、強豪の金(キム)ウォンジンを肩車と大腰で投げ飛ばし、合わせ技一本で撃破した。軽量級の中でもとびきりのスピードと力強さ。決勝もポイントこそ奪えなかったが、肩車で相手を2度浮かせ一度は一本の判定が出た。2つの指導を与えて優勢勝ち。表彰式では日の丸を見上げて涙を流した。

 【高藤 直寿(たかとう・なおひさ)アラカルト】

 ☆生まれとサイズ 1993年(平5)5月30日、埼玉県蓮田市生まれの20歳。4歳からは栃木県下野市で育つ。1メートル60。AB型。

 ☆柔道歴 元警察官の父・憲裕さん(56)の影響で小さな頃から道場に遊びに行く。本格的に始めたのは小学生になってから。右組みで得意技は小内刈り、肩車。高藤スペシャルは相手の腰を持って抱え上げる変型大腰。

 ☆ナイナイ岡村似 似ている芸能人は岡村隆史。斉藤仁強化委員長からは「オカザイル」と呼ばれ、優勝したら畳の上で踊っていいと言われていたが「勝ったら全部頭から吹っ飛んだ」。

 ☆新ルール順応 すくい投げや肩車が得意なため、09年に「足取り2回で反則負け」のルールが試験導入されると国内の反則負け適用第1号に。今大会は2月から導入された足取り全面禁止ルールだったが、足を取らない肩車などでしっかり対応。

 ☆寮生活 中学校から親元を離れ、自ら決めた神奈川・東海大相模中に進学。同高校から東海大へ。

 ☆タイトル歴 小中高、ジュニアと全てのカテゴリーで日本一を獲得しており、16歳以下の世界カデや20歳以下の世界ジュニアも優勝。

 ☆外弁慶 これで国際大会は昨年5月のグランドスラム・モスクワ以降6連勝。一方で国内では講道館杯3位、選抜体重別3位と最近優勝なし。

 ☆趣味 ツイッター。なぜか最近になってミクシィも始める。

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