猪瀬発言でIOC注意 米紙でライバル都市批判か 知事反論

[ 2013年4月29日 20:37 ]

 2020年夏季五輪招致を目指す東京都の猪瀬直樹知事が、米紙とのインタビューでライバルのイスタンブール(トルコ)を批判したと疑われる発言をしたことが29日、分かった。国際オリンピック委員会(IOC)は倫理規定で他都市を批判したり、比較したりすることを禁じており、招致都市にあらためてルール順守を求める事態となった。東京招致への影響が懸念される。

 東京都は同日、「真意が正しく伝わっていない。他の立候補都市を批判する意図は全くなく、インタビューの文脈と異なる記事が出たことは非常に残念だ」と反論する知事のコメントを発表した。

 猪瀬知事は27日付のニューヨーク・タイムズ紙で「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」などと発言した。記事によると、インタビューは通訳を介して行われた。

 IOCは29日の声明で「翻訳では知事が何を意図したか全部は明確でないが、すべての候補都市に招致プロセスに関する規定に留意するよう求める」との方針を示した。

 記事中で知事は、トルコは若者の人口が多く五輪の発展にはイスタンブール開催が有利との見方を否定。日本の長寿社会に触れ「トルコの人々も長生きしたいなら、日本でわれわれが持つような文化をつくるべきだ。若者が多くても、若いうちに死んだらあまり意味がない」とも語った。

 東京招致委員会の鈴木徳昭戦略広報部長は「こうした記事が出てしまったことは非常に残念だ。われわれとしては規則にのっとり今後も優劣の比較やネガティブキャンペーンがないように細心の注意を払い、相手をリスペクト(尊敬)してやっていく」と述べた。

 20年五輪招致はマドリードを加えた3都市が争い、開催都市は9月7日のIOC総会(ブエノスアイレス)で決まる。

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2013年4月29日のニュース