公務員ランナー川内 完全燃焼の涙!「団体銀メダル本当にうれしい」

[ 2011年9月4日 17:35 ]

世界陸上の男子マラソン 18位でゴールする川内優輝

世界陸上最終日 男子マラソン

(9月4日 韓国・大邱)
 陸上の世界選手権最終日の4日、韓国の大邱市内を周回するコースで男子マラソンが行われ、初出場の堀端宏行(24=旭化成)が2時間11分52秒で日本勢最高の7位に入賞する健闘を見せた。日本勢の入賞は7大会連続。中本健太郎(28=安川電機)が10位、公務員ランナーの川内優輝(24=埼玉県庁)は後半の追い上げで18位に入った。上位3選手の結果で日本が団体で銀メダルを獲得した。

 市民ランナーの星は初めて挑んだ世界の舞台でも恒例の「完全燃焼」スタイルを崩さなかった。韓国の大邱で4日に行われた陸上の世界選手権男子マラソンで川内優輝は18位でゴールすると、意識もうろうの状態で全身がけいれんして倒れ、医務室へ運ばれた。
 
 しばらくして現れた川内は、上位3人のタイムで争う団体での銀メダルに貢献し「僕みたいにスピードがなくたって日本人の粘りがあれば、マラソンはやれるんだと証明できた」と感涙を抑えられなかった。
 
 普段は埼玉県立春日部高校の定時制で働く事務職員。コーチをつけず、大邱入り後も1人でコースを下見した。全国の市民ランナー仲間の夢を背負って走りだすと「これが世界か」と興奮し、5キロは先頭集団のトップで通過。15キロすぎに遅れたが最後まで粘った。
 
 ランナーとしての原点は小学生時代。公園で毎日タイムを測って1200メートルを走らされた。「スポーツ教育ママだった」と笑う母の美加さん(47)は沿道で応援。「最後まで諦めず有言実行の走りでした」と息子の姿に目を細めた。
 
 川内選手が卒業した埼玉県久喜市の市立鷲宮中学校で応援した同校陸上部の中繁聖輝君(13)は「粘り強く走るところを見習いたい」と母校の先輩の奮闘に刺激を受けた様子。同県の上田清司知事は「県職員の業務をこなしながら練習を重ね、居並ぶ外国勢と肩を並べ競う姿は元気と勇気を与えた」とコメントした。

 ▼川内優輝の話 団体で銀メダルを取れて本当にうれしい。スピードがなくたって日本人の粘りがあればマラソンはやれるんだと証明できた。僕自身、後半粘って最低限の走りはできた。また世界の舞台に戻ってきたい。

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