佐藤 完全復活V「北京の時より強くなった」

[ 2011年8月26日 06:00 ]

女子57キロ級で金メダルを獲得した佐藤

柔道世界選手権第2日 女子57キロ級

(8月24日 フランス・パリ、ベルシー体育館)
 大会第2日の全階級を制した日本勢でも、女子57キロ級の佐藤愛子(27=了徳寺学園職)の金メダルは特別な意味があった。準決勝で前回女王の松本薫(23=フォーリーフジャパン)を下し、決勝はシルバ(ブラジル)に背負い投げで一本勝ち。表彰式でも涙が止まらなかった。

 最高の舞台だったはずの北京五輪会場で、悲劇は起きた。敗者復活戦で右膝のじん帯を断裂。帰国後に手術し長いリハビリ生活が始まるとともに、強化選手からも外れた。1年間は練習もできず、痛みに耐え続けた。

 09年末に復帰したものの、思った通りに動けるようになるまで「(手術から)2年はかかった」という。会場で応援した昨年の東京大会では年下の松本が優勝。「もういい、やめよう」と何度も思った。だが「北京のけじめ、というのもあったし、大好きな柔道ができるのは今しかないとも思った」と諦めなかった。

 結果次第ではロンドンへの道は断たれる今大会は「負けたら引退しようと思っていた」と覚悟を決めていたという。最後の挑戦で最高の結果を残したベテランは「(柔道のできない)1年間があって良かった。精神的に強くなったし、北京の時より強くなったと思います」と言い切った。

 ◆佐藤 愛子(さとう・あいこ)1983年(昭58)10月18日、北海道生まれの27歳。筑波大大学院、了徳寺学園職。9歳で柔道を始める。08年北京五輪代表。07年世界選手権リオデジャネイロ大会銅メダル。今年はグランドスラム・モスクワ大会優勝。得意は背負い投げ、寝技。1メートル59。

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