早大 得失点差で連覇!堅守で激戦制した

[ 2010年12月6日 06:00 ]

<明大・早大>後半33分、早大・山下(左から3人目)が優勝を決定付けるトライを決め、駆け寄り祝福するフィフティーン

 【関東大学ラグビー】伝統の粘り強い守りでワセダが早明戦を制した。関東大学ラグビー対抗戦グループの早大―明大戦は5日、東京・国立競技場に4万2729人の大観衆を集めて行われ、早大がFWを中心とした堅守で明大を31―15で下した。早大、明大、慶大の3校が6勝1敗となり、早大と明大が当該校間でのトライ数が5で並んだが、3校間での得失点差で上回った早大が2年連続22回目の優勝を飾った。

 試合が終了しても、早大の選手はどう喜んでいいのか分からなかった。「勝てたのはうれしかったけど、優勝は分からなくて…」とフランカー山下。3校が6勝1敗で並び、当該対戦のトライ数は早明が5。辻監督のインタビューで得失点差による優勝が分かり、やっとアカクロが歓喜した。
 前半18分までの猛攻をしのいだ守りがすべてだった。2分に深く攻め込まれてからスクラムを6度も組んだ。明大FWから「スクラムトライだ」の声が漏れる。復活した重戦車に反則を取られる度に執ようにスクラムを選択された。
 ロック中田は「耐えれば流れがくる。楽しかった」と振り返る。明大戦に備え、Bチームの10人スクラムを相手に練習してきた。「8人がまとまり、スピードがある早大のスクラムを組めば負けないと思っていた」とプロップ上田。SO山中のタッチでゴール前のピンチを逃れた5分後、先制トライが生まれた。
 「とにかくタックルで勝とう」。辻監督はそう言って送り出した。スクラムだけでなく、全員がタックルで体を張った。「ワセダといえばタックル」。現役時代にSHながら猛タックルで知られた指揮官は、今季の就任直後から「体を張らないやつは使わない」と、伝統である攻撃的なタックルの復活を掲げた。
 清宮、中竹監督時代は戦術に主眼が置かれ「その過程でなくなったものもあった」という。「ラグビーの原点は泥臭さ。身を削るタックル」。2週間に1回、個人タックル練習の日をつくった。早明戦1週間前には「緊張」と書いた大きな張り紙が復活した。早慶戦で10年ぶりに敗れたチームは、息を吹き返した。
 辻監督の現役時代は早明戦4連敗。明大・吉田監督は「スターだった」と言う。「個人的な感情はあまりない。選手に感謝している」と初勝利をかみしめた新監督。試合前「ゴール前でメイジが押してワセダが守る試合を」と話した小柄な指揮官の下、久しぶりの早明戦らしい試合を早大が制した。

 ▽1~3位の順位決定方式 早大、慶大、明大が1敗で並び、当該対戦は同率。順位決定の最優先は当該対戦のトライ数だが、早大、明大が5、慶大が4と、2校以上が並んだため、規定によりトライ数ではなく当該対戦の得失点差で判断することになった。早大が+14、慶大が-1、明大が-13となり、最終順位が決まった。

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2010年12月6日のニュース