藤田悲願の日本タイトル!全米、全英出場権!

[ 2010年12月6日 06:00 ]

<ゴルフ日本シリーズJTカップ>優勝を決めた藤田(中央)は、池田、薗田、石川ら選手に胴上げされ、笑顔を見せる

 男子ゴルフツアーの日本シリーズJTカップ最終日は5日、東京都稲城市の東京よみうりカントリークラブ(7016ヤード、パー70)で行われ、藤田が悲願の日本タイトルを手にした。首位から出た藤田寛之(41=葛城GC)は谷口徹(42=フリー)に一時はリードを許したものの、66で回って、通算15アンダーで優勝した。今季2勝目で通算10勝目。賞金ランク2位に入り、全米オープン、全英オープンの出場権を獲得。マスターズにも大きく前進した。64をマークしたものの、通算9アンダーの7位に終わった石川遼(19=パナソニック)は2年連続の賞金王を逃し、賞金ランクも3位となった。

【最終R成績


 手が震えた。わずか60センチの距離が「今までゴルフをやっていて一番怖いパット」となった。堅実な藤田が一世一代の決断をする。「距離を合わせるならカップ2、3個分外さないといけない」フックラインだったが、「勝つか負けるかのパット。カップを外さずに打った」。強めに出たボールはそのままカップイン。激闘をかみしめるように両手で静かにガッツポーズをつくった。
 外せば「8メートルはオーバーしていた」という球の勢いが日本タイトルに懸ける思いを象徴していた。3打差の首位から出たが、前半は1つしかスコアを伸ばせなかった。ショットが暴れ、打つたびに首をひねった。それでも、持ち前のショートゲームでパーを並べて首位を守り続けた。
 勝負は17番パー5だった。16番でバーディーを奪い、13アンダーで首位に立ったはずが、谷口が17番でイーグルを奪い、14アンダーに伸ばしていた。17番は第1打をフェアウエーに運ぶと、残り255ヤードから3Wを振り切り、グリーン奧6メートルにつけた。これをねじ込んでイーグルを奪い返し、再び首位に立つと、18番パー3は右バンカーから60センチにつけるスーパーショットで逃げ切った。
 41歳にしてなお向上心は尽きない。海外大会で飛距離が足りないと感じるとドライバーのシャフトを長くするなど進化を追い求めた。ゴルフを生活の第一とし、どうしても家族と過ごす時間は短くなった。長男の大稀君(7)は小学校に入学したばかりの頃は「どうして僕のお父さんはずっと家にいないの」と泣いていたという。だが、この日、妻の優合子さん、次男・和己君(1)と応援に訪れた大稀君は「かっこ良かった」と声を弾ませた。ゴルフに興味を持つようになった愛息に強いパパの雄姿を見せることができた。
 節目の通算10勝目を日本タイトルで飾り、賞金ランクは2位。全米オープン、全英オープンの出場権を手にし、現在、58位の世界ランクもマスターズ出場圏の50位以内に入る可能性も出てきた。「理想としていたものは全部手に入れた。いつもは脇役だけど、後半の3ホールは主役を演じることができたかな」。最高のフィナーレにいぶし銀のベテランが胸を張った。
 ≪師匠の芹沢も祝福≫会場に駆けつけた師匠の芹沢信雄も藤田にを祝福した。前夜に藤田から電話をもらったが、「(富士フイルムシニア)で10年ぶりに勝った気持ちはどうですかって聞かれたけど、おまえの方が勝ち方を知っているだろう、おまえのゴルフをすれば大丈夫だと話した」とやりとりを明かした。今季の藤田は日本オープン2位、日本ツアー選手権、日本プロ選手権3位と最終日に伸び悩んだが、この日は見事に勝利。毎年、マスターズでラウンドレポーターを務める芹沢は「一緒にオーガスタに行けたらいい」と話した。

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2010年12月6日のニュース