フォーム改造実った!寺川綾“進化”の銀 

[ 2010年8月20日 06:00 ]

女子100メートル背泳ぎ決勝で2位に入り、笑顔で声援に応える寺川綾

 競泳のパンパシフィック選手権は18日、米カリフォルニア州アーバインで開幕し、女子100メートル背泳ぎで寺川綾(25=ミズノ)が自己ベストを100分の1秒更新する59秒59で銀メダルを獲得した。男子100メートル背泳ぎでは昨年の世界選手権(ローマ)を制した古賀淳也(23=スウィン埼玉)が53秒63の2位、日本記録保持者の入江陵介(20=イトマンSS)は53秒71で4位。五輪2連覇のアーロン・ピアソル(27=米国)が53秒31で優勝した。

 ゴール板にタッチして電光掲示板を確認した寺川は、ホッとした表情を浮かべた。6月のジャパン・オープンで出した自己ベストを0秒01更新する59秒59で、優勝したシーボム(オーストラリア)に0秒14差の2位。「タッチするまで自分の泳ぎに必死。(1位と)あんな差がわずかだと思わなかった」。国際大会でなかなか好結果を出せなかった苦労人が銀メダルを獲得した。
 昨年は4月の日本選手権で3冠を達成し、7月の世界選手権(ローマ)ではメダル候補として期待されたが、200メートル(8位)しか決勝に残れなかった。今回は7月の米アリゾナ州フラッグスタッフでの高地合宿で「背泳ぎをやってきた中で一番大きく変えた」と思い切ってフォームを改造。北京五輪の金メダリスト、コーグリン(米国)のように、より体から離れたところで水をつかむようにした。効率的に水をつかめるが、テンポが上がる分、消耗が大きい。「最初はこのフォームでは100メートルも持たないと思った」と笑うが、短期間でものにした。
 大学2年で出場した04年アテネ五輪後は伸び悩んだが、出場を逃した北京五輪後、北島を育てた平井伯昌コーチに師事して着実に力を蓄えてきた。「59秒59」は今大会に出場しない欧州などの選手を含めた今季の世界ランキングで4位のタイム。2年後のロンドン五輪でメダルを狙える位置にいることは間違いない。
 「去年の世界選手権のメダリストは(金、銀の2人が)出ていないが、獲れるものが獲れてうれしい」。男子に比べて世界との差がある日本女子。そのキャプテンが結果でチームを引っ張った。

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2010年8月20日のニュース