独立委の奥島座長「理事長は外部にすべき」

[ 2010年8月1日 06:00 ]

<ガバナンスの整備に関する独立委員会>独立委員会後、会見する奥島孝康委員長

 日本相撲協会の改革を目的に設置された「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」(独立委)の奥島孝康座長(日本高野連会長)は31日、現在は外部の村山理事が代行を務めている理事長職について、当面は外部の理事が務めるべきとの見解を示した。また、独立委はこの日、東京・両国国技館で3回目の会合を開き、理事会に提出する暴力団排除に関する提言をまとめた。維持員席問題を含め、次回12日の会合で最終決定する。

 3回目の会合を開いた独立委は、オブザーバーとして参加した春日野親方(元関脇・栃乃和歌)ら5人の親方から一門制度や部屋経営などを中心に意見を聞いた。その中で、一門の意向が協会内で大きな影響を及ぼしていることを確認。奥島座長は「内部がトップでは、その人が所属する一門の意見が強く反映される。そういった意味でも(理事長職は)外部にすべき」と話した。
 武蔵川理事長は現在、高血圧などで都内の病院に入院中で、名古屋場所初日から外部理事の村山弘義氏が代行を務めている。会合を終えた奥島座長は、協会トップの去就について「おそらく(武蔵川理事長は)代わることになるだろう」と衝撃発言で切り出し、続けて持論を展開。「改革に対する意欲があり、信頼感を持っている」と理事長を評価する一方で「(65歳の)定年が近いという年齢的なこともあり、復帰してもどうか。私見ではあるが、改革がある程度進むまで外部理事にやってもらいたい」と話した。
 外部理事長問題については、独立委の中でも意見は割れている。奥島、新田両委員らの外部擁立派に対し、渡辺委員は「暴力団排除宣言は、内部の人間が宣言しないと意味がない」と武蔵川理事長の復帰を要望。木暮委員も「国技を守るなら、内部で頑張ってきた人が理事長をやった方がいい」と主張した。
 独立委は秋場所前に暴力団排除と維持員席問題について提言をまとめる予定だが、その後は年寄株問題などと並行して、外部理事制度が討議される可能性が高い。29日には川端文科相が村山代行の続投を熱望したばかり。武蔵川理事長は、まわし組最後の理事長となってしまうのだろうか。

 ≪木暮委員が私案提出へ≫独立委の木暮浩明委員は12日の会議で、理事長補佐などの新ポストの設置を含む協会の組織改革についての私案を提出する意向を示した。木暮委員は「理事長は力士出身の方がいい。それをサポートする外部の人間が必要」と外部理事を理事長補佐とする考えを披露。外部理事には政財界の人材登用を求める。また、「一般企業の秘書部長のような役割で、協会の司令塔」として理事室長も新設したい意向。外部から人材を招き、補佐役に親方を置いて実務を学ばせるという。

 ≪オブザーバー親方衆は笑顔≫初めてオブザーバー参加した親方衆は、約1時間半の話し合いを終え、そろって笑顔だった。奥島座長によれば「独立委は敵だと思っていた」との発言も親方衆から冒頭にあったが、大山親方(元幕内・大飛)は「実際に話を聞くと、独立委に対する印象が変わった」と話した。春日山親方(元幕内・春日富士)は「こちらから意見を言う場は今まで一度もなかったから良かった」と気を良くしていた。

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2010年8月1日のニュース