「貴派」旗揚げ!6親方が二所ノ関一門離脱

[ 2010年1月20日 06:00 ]

二所ノ関一門会の会場から途中退席して、報道陣に囲まれる(左から)二子山、阿武松、常盤山、大嶽、間垣の各親方

 初場所後の2月1日に行われる日本相撲協会の理事選挙をめぐり、二所ノ関一門を離脱した貴乃花親方(元横綱)を支持する間垣親方(元横綱2代目若乃花)ら6人の親方が、同一門を離脱することになった。19日に東京都内のホテルで開かれた一門会の会合で決まった。相撲界の改革を訴え理事選挙に立候補する貴乃花親方を中心に「貴乃花一門」旗揚げの機運が高まってきた。

 一門会の会合が始まって約1時間が経過した午後7時50分。動きがあった。まだ話し合いが行われているというのに、間垣親方はじめ貴乃花親方を支持する6人が退席。一門からの離脱が決まったことを明らかにした。6人は既に腹をくくっているかのようで堂々としていた。間垣親方は「われわれはあくまでも破門はすべきではないと主張した。(離脱決定は)しようがないんじゃないの。一門から離れたくないと言ったのに、こういう状況にされた。情けない話」と語気を強めた。
 一門会に出席しなかった貴乃花親方は「二所ノ関一門を思うあまり、(みんな)出る気はなかった。こういう結果になったのは(一門が)これからの時代にそぐわないことをしているとしか思えない。若手をはじめ将来ある人たちのために、あらためて恩返しをしていかなければならないと思いました」と話した。自分が離脱することで支持派が責任を問われないことを期待していたが、その気持ちを踏みにじられた形となり、失望の色を隠せない様子だった。
 27人が出席した一門会の主な議題は理事選挙の候補者選出と、8日の一門会で離脱を表明した貴乃花親方を支持する6人の処遇だった。6人の処遇について出席者全員から意見を集約。方向性が食い違ったため「一門として貴乃花親方を応援すべきか」を審議した。最終的には27人全員の挙手による採決を取った。出席者によれば、一門残留を主張する貴乃花派に同調する親方や、どちらにも手を挙げない親方もいたが、離脱を求める親方が過半数を占めた。
 尾車親方は「破門ではない。一門の中で方向性が違うので、今回は円満に別れることになりました」と説明したものの、事実上の破門だ。阿武松親方は「多数決には驚いた。(貴乃花親方が)ただ選挙に出て思いを遂げたいというだけだったのに」と悔しさをにじませた。常盤山親方は会場から退室する際「本当にこれでいいんですか」と強い口調で訴えかけた。
 今後、貴乃花親方は離脱した6人とともに「貴乃花一門」を旗揚げすることになる。理事選挙は11人による争いが濃厚だが、7人となった「貴乃花一門」は他の一門にも広く支持を訴えていく。相撲界の改革を目指して立ち上がった貴乃花親方の決断と行動に注目が集まる。

 【一門とは】分家、独立などで系統別に分けられた相撲部屋のグループ。現在は出羽海、二所ノ関、立浪、時津風、高砂の5つがある。かつては一門別に巡業を行い、1964年までは同じ一門の力士は本場所での対戦を組まれなかった。2年に1度の役員選挙で協力するほか、一門で連合稽古を実施するところもある。

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2010年1月20日のニュース