ズッコケフィニッシュ!高橋大輔、苦笑の首位発進

[ 2009年10月11日 06:00 ]

SPのフィニッシュで転倒し、氷の上に座り込んだまま苦笑いする高橋大輔

 赤面とともにエースが帰ってきた。フィギュアスケートのフィンランディア杯第1日は9日、フィンランド・バンターのバルティ・アリーナで男子ショートプログラム(SP)が行われ、昨年10月の右ひざ故障で戦線離脱していた高橋大輔(23=関大大学院)が、537日ぶりに実戦復帰。演技のラストに転倒して土下座のような恥ずかしいポーズでフィニッシュしながら、83・23点のハイスコアをマークして首位発進。金メダルを狙う10年バンクーバー五輪へ、確かな第一歩を刻んだ。

 まるで長期間の戦線離脱をわびているようだった。演技最後のスピンを終えた高橋が、前のめりに転倒する。日本から駆けつけたファンが陣取るスタンドに向かって両手、両ひざが氷上についた土下座のようなポーズでフィニッシュ。自己4番目の高得点となる83・23点で2位に13・01点差をつける圧倒的な首位発進にも、顔を赤らめ苦笑いを浮かべた。
 「最後はちょっと恥ずかしかった。試合であんなコケ方をしたのは初めて。体力もなくなって崩れ落ちました。ジャッジの人も笑ってました」
 昨年10月の練習中に右ひざじん帯断裂の重傷を負い、昨季は1試合も大会に出場できなかった。昨年4月20日のジャパン・オープン以来、537日ぶりの復帰戦はGPシリーズより格下の大会だったが、随所に存在感を見せつけた。冒頭の3―3回転の連続ジャンプを決めると、故障の原因となった因縁のトリプルアクセルも成功。全8要素の出来栄えでジャッジの加点を引き出せば、8・00点の表現力を筆頭に5項目の演技点でもズラリとハイスコアを並べた。
 「緊張はしてても、自分を見失わない感じでいけた。楽しく滑れた」
 競技人生の危機に立たされるほどの故障をプラスに変えた。右ひざのリハビリと並行して下半身の可動域を広げるトレーニングを敢行し、硬かった足首、股関節の柔軟性がアップ。故障の影響を感じさせないジャンプの着氷、スムーズなスケーティングを披露した。「課題と言えば全部が課題だけど、試合の雰囲気には慣れたかな」。金メダルを狙うバンクーバー五輪まで約4カ月。苦難を乗り越えたエースが、夢舞台へ歩き始めた。

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2009年10月11日のニュース