安馬 大関「確」!昇進ノルマ33勝到達

[ 2008年11月22日 06:00 ]

安馬が雅山を押し出しで破り、大関昇進の目安となる3場所通算33勝に到達

 大相撲九州場所13日目(21日・福岡国際センター)大関を狙う安馬が雅山を一気の攻めで押し出し、11勝目をマーク。昇進の目安とされる3場所通算33勝に到達した。近年のケースでは34勝以上が当確だが、前日の白鵬戦の勝利を重視する声も多く、残り2日で連敗しない限り、昇進は濃厚な状況となった。白鵬は琴欧洲を寄せ付けず、2敗をキープ。3敗は平幕の嘉風1人となった。

【取組結果


 会心の勝利で雅山を下した安馬は、土俵下の控えで何度も息を吐いた。入門当時からあこがれていた「大関」が現実のものとなり、高ぶる鼓動を抑えきれない。興奮冷めやらぬ安馬は、心の中で天国の父に叫んでいた。「父さん、やったよ」
 入門して1年半がたった04年夏。里帰りでモンゴルに戻った安馬は、相撲を辞めたいと父・ダワニャムさん(享年50)に打ち明けた。しかし、異国の地での集団生活に悩む息子に父は笑いながら諭した。「男は自分の目標に向かって突き進むべき。逃げてばかりいたら、一生何もできないぞ」。尊敬する父の言葉でモヤモヤは吹っ飛んだ。ダワニャムさんは06年12月28日に交通事故で死去したが、弱気を追い払って稽古の虫となり、亡き父との約束を果たした。
 前日、会心の相撲で白鵬を撃破。その自信が土俵にも表れていた。力強い踏み込みで雅山に圧力をかけ、闘争心を前面に出す。最後は力強いもろ手突きで170キロを押し出した。花道では子供にキスをする余裕も見せ、報道陣の前でも今場所一番の笑みをこぼした。
 「うれしいです。前に出られた」。この日の勝利で、大関昇進の「ノルマ」である3場所33勝に到達した。近年の先輩大関は34勝以上をクリアしているが、横綱に勝ったことを重視する声も多い。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)も「いい相撲だった。大事なところになって本来の相撲が取れている」と評価した。
 会場から出ると、待ちかまえたファンから「大関」の声があがった。優勝争いでも白鵬とのマッチレース。「まだ2日ある。1日1番。自分の相撲を取り続けるだけ」。自信満々に言い放った姿は、早くも大関の風格を漂わせていた。

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2008年11月22日のニュース