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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】郷愁に酔う!?不思議の島

一軒家の居酒屋は元カラオケボックス
Photo By スポニチ

 君とよくこの店に来たものさ♪センベロライター・さくらいよしえが訪れたのは“学生街”の東京都世田谷区の明大前。「宮古」は明治大学の学生に愛され続けているウチナー居酒屋。2号店の不思議な空間でホロ酔う師走…。

 学生街のはずれにたたずむ一軒家の“島”酒場。

 われわれは今、扉に「5」番と書かれた部屋で飲んでいる。厨房(ちゅうぼう)の有線からヒット曲が流れているが、扉をしめると完全密閉空間になる。謎だ。

 そう広くはない店内だが、柱や間仕切りが多い。製麺部屋では、骨董(こっとう)級の打ち機が生地をぐるぐる旋回させている。

 創業40年。都内の沖縄料理店では先駆けだ。島から取り寄せるスクガラス380円にグルクンの唐揚げ520円と値段も破格。

 宮古島出身のマスターは、今は基本週一しか出勤しないプチご隠居だが、「昔は頑張りましたよ。地元の学生に安く食べさせたいと仕入れから料理まで。雨の日に、道で酔って寝てる学生がいると、風邪ひくから店に泊めるなんて面倒見も良くて」という母さんは、20代のOL時代、サイパン旅行に行きたくて、バイトを始めた。その渋谷の洋食店でピザを焼く若き父さんと出会う。

 結局、サイパンへは行けないも、ほどなくニッポンの南の島、宮古に子連れで“里帰り”。一応、南国には行く夢は、不思議な形で叶(かな)ってしまった。

 宮古の味を堪能する。しっとりとしたスヌイの天ぷらは、かむほどにもちもちと磯の香りが広がり、5時間かけて煮込むテビチは、茶褐色の弾力のある皮にぷるぷるポークがじゅわっととろける傑作。それに島唐辛子入りで“塩と飲む”「金魚サワー」が灼熱(しゃくねつ)の太陽のごとくのどごしから体を熱くする。

 我々は、「5」番の部屋で、レトロなクッションチェアに身を沈め、すっかり弛緩(しかん)していた。

 学生時代、朝まで飲み、最後、カラオケボックスで始発を待つあのしあわせな倦怠(けんたい)感を思い出した。

 間取りの謎が解けた。「1号店(駅前)で資金ができ、民家だった一軒家を買って2号店(ここ)でカラオケ屋を始めたの。でも大赤字。で、やっぱり料理屋にしようとまた大改装」。なるほど…。店全体に漂う奇妙な心地よさは、場当たり的にできた空間にあった。

 個室にカウンターに2階の大部屋。計算されていないレイアウトは、店であることを忘れさせる。母さんの打ち立て「沖縄ソバ」が登場した。パツパツと軽快にちぎれる麺を、塩スープとたぐる。

 ここは南の島。それも元カラオケ屋の友達んち、みたいな気分。その上、御馳走(ごちそう)がいっぱいだ。

 ◇宮古2号店 狩俣富男・節子夫妻が40年前に開業。1号店と共に明大前の和泉キャンパスに通う明治大学の学生、劇団員のコンパなどでよく使われている。2号店の厨房は、店長の北方宗春さんが担当。丁寧な仕事ぶりが光る。「金魚サワー」は、泡盛サワーに「コーレーグースー」と呼ばれる沖縄独特の調味料の中に入っている小さな唐辛子を入れたもの。パンチが効いた味だ。泡盛の一升瓶は4300円から。キープ期間は3カ月。東京都世田谷区松原2の41の5。(電)03(3325)9735。営業は午後5時から午前1時。不定休。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「にんげんラブラブ交叉点」(同)など。

[ 2016年12月9日 12:00 ]

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