×

旅・グルメ・健康

【橋本マナミ 恍惚のグルメ】おっきくて くわえきれないよ

[ 2016年12月7日 12:00 ]

熱くて大きいの…12センチ60グラムのびっくり餃子にうっとりする橋本マナミ
Photo By スポニチ

 東京の下町・町屋に絶品の餃子(ギョーザ)があります。ごま油で焼き上げた皮と、粗く切った野菜の食感がおいしい“パリザク系”。ビッグサイズをはさみで切ったキャベツザクザクの断面と、特製ダレの絡みが絶妙なんです。“チョキンと切っちゃう”で、私が思い出すのは阿部定事件ですが、こんなに大胆に切っていいこともあるなんて…。

 懐かしさを感じさせるガラスの引き戸を開けると、カウンターにはほろ酔いの常連のおじさまたち。昭和レトロの香り漂うこの店は1947年(昭22)創業の「餃子は一龍」。2代目の店主、紅谷正明さん(75)、奥さんの菊江さん(83)が店を切り盛りしています。

 定番メニュー「びっくり餃子」(1個=100円)は、12センチで60グラム。一般的な大きさの約2倍です。菊江さんが「切りますか?」と声を掛けてくれたのでお願いすると、真ん中あたりにはさみを当て、餃子を半分に切ってくれます。焼き肉屋さんで、骨付きカルビを食べる時のように、ちょっとしたイベントみたい。大胆でワイルドで、餃子が戦後の大衆食として広まったことを思い出します。

 断面からは粗く切ったキャベツのほか、ニラや長ネギも入って野菜がたっぷり。薄めの皮は黄金色でパリと香ばしく、中はキャベツのザクザクした食感が味わえます。肉汁プシャーのモチモチ系も好きだけど、この店のパリザク系は断面を切ったことで特製ダレが餡(あん)と絶妙に絡むのが特長。皮に付けて食べるよりも、ピリ辛でコクがある自家製のタレのおいしさをもっと感じます。

 「タレもいいですね!」と言うと、正明さんは「ラー油と酢、しょう油にニンニクを加えているけど、作り方やほかに入れているものは秘密。初代から受け継いでいるんだ」と話してくれました。

 先代は菊江さんの親戚の女性で、満州で覚えた餃子を日本風にアレンジしてレシピを作ったそうです。その書面は銀行の貸金庫に預けて、厳重に保管しているんです。

 正明さんが厨房(ちゅうぼう)で、ゴマ油の染みた鉄板に餃子を並べ、水を入れて蒸し焼きにしてから、ゴマ油をかけて仕上げます。鉄板の温まり具合や餃子の数で焼け具合が変わるので、静かに蓋(ふた)を開けたり「バリバリという音で分かるんだ」と耳を澄ませたりしています。創業69年の今も初心を忘れない丁寧な作り方なんです。

 盛り合わせの「ミックスセット」(1080円)は「びっくり餃子」のほか、単品でも注文できる「梅餃子」(150円)、「エビ餃子」(250円)、「明太子(めんたいこ)餃子」(170円)、「いか餃子」(170円)、「納豆餃子」(120円)、「しそ餃子」(120円)の7種類。「びっくり餃子」にいろんな具を入れたものです。半分に切るサービスで、いろんな種類を楽しんで食べるグループも多いそうです。

 エビは尻尾が出ていて、可愛らしいビジュアル。刻んで餡に交ぜた1匹分のエビがプリプリしていてとてもおいしい。お肉に爽やかな味わいが加わる梅も私は好きです。いろんな具も特製ダレに合って、おいしいです。

 ご夫婦の温かい雰囲気とアツアツの絶品餃子。人恋しくなる季節にお薦めです。

 ≪ヒミツがいっぱい≫餡のお肉は、軟らかくてジューシーな牛の頬肉に豚肉を交ぜています。「下味を付けて最低でも一晩寝かせているんだよ。でも、ここで使っている調味料もナイショなんだ」と正明さん。「3個目も食べちゃお~」と手を伸ばすと、正明さんが「ウチの餃子はニンニクがにおわないから大丈夫だよ。どうやっているかもナイショなんだけどね。これも先代から伝わっているんだ」と笑顔で教えてくれました。ナイショがいっぱいなのも、餃子作りにかける愛情と誇りが伝わってきて、おいしさのスパイスになりますね。

 ◇餃子は一龍 自家製焼き豚(中皿=800円、大皿=1600円)も人気=写真。特製のつけ汁で約4時間煮込んで作っているため、味が染みて軟らかくておいしい。東京都荒川区荒川6の42の10。午後4~11時(なくなり次第、終了)。月、火曜定休。(電)03(6458)2378。

 ◆橋本 マナミ(はしもと・まなみ)1984年(昭59)8月8日、山形県生まれの32歳。フジテレビ「バイキング」金曜レギュラー。来年1月公開の映画「破門」で愛人役を演じる。1メートル68、B86、W60、H88。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る