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小林一茶の生誕地 長野県・信濃町はナウマンゾウファンの“聖地”

[ 2015年9月18日 05:30 ]

FRP製の巨大なナウマンゾウが出迎えてくれる野尻湖ナウマンゾウ博物館
Photo By スポニチ

 俳人・小林一茶の生誕地として知られる長野県・信濃町。中心をなす野尻湖は氷河期に生存したナウマンゾウの化石が出土、そばには全国で唯一のナウマンゾウの博物館もあり、ファンの“聖地”になっている。映画「ジュラシック・ワールド」などで恐竜や古代生物が注目される昨今、後に地球上に現れたナウマンゾウに触れながら、太古の世界に思いをはせた。

 黒姫山(標高2053メートル)、斑尾山(同1382メートル)など北信五岳に抱かれるように水をたたえる野尻湖。標高657メートルの湖上を遊覧船が航行。周囲16キロの湖畔を駅伝でおなじみの駒大、東洋大、早大などの選手が合宿で走り、欧米の宣教師によって開かれた湖畔の国際村には世界の人たちが避暑にやって来る。

 そんな湖の底から、湖畔の旅館の主人・加藤松之助さんがナウマンゾウの臼歯(下あごの歯)の化石を発見したのは1948年(昭23)。62年から発掘が始まり、これまでに出土した46頭分の歯や2頭分の骨の化石、骨器、石器の道具類など約7万9000点のうち約1万点を展示するのが「野尻湖ナウマンゾウ博物館」だ。

 館内に入ると目に飛び込むのが高さ3メートル、全長6メートルのナウマンゾウの実物大の復元像。巨大な牙を突き出し、入館者に向かってくるような姿は迫力満点。本物の臼歯の化石に触れるコーナーや同じ場所から化石が発掘されたオオツノジカの実物大の復元像なども展示され、まさに太古の世界に迷い込んだ感じだ。

 「ナウマンゾウは約40万年前から日本に棲息していたゾウの一種で、約2万年前に衰滅した。化石は全国250カ所で見つかっているが、今も発掘されているのは野尻湖だけ。約4万年前の地層からです」とは学芸員の近藤洋一さん。現在は2年に1度、水力発電などで湖の水位が下がる3月に、全国23カ所の「野尻湖友の会」会員約1000人の手で発掘が行われているという。

 次回は来年3月19~28日の予定だが「化石の近くで骨器や石器が発見されており、人類がナウマンゾウ狩りをしていたと推定される。人骨が見つかれば日本最古の人類になるのだが」と近藤さん。博物館から徒歩約3分の発掘場所に行ってみたが、今は水面に覆われ、湖上に浮かぶ琵琶島(弁天島)が見えるだけ。野尻湖人はどんな生活をして、どんなものを食べていたのか…思いを巡らす目の前を一瞬、涼風が吹き抜けた。

 ▽行かれる方へ JR北陸新幹線長野駅乗り換え信越本線黒姫駅からタクシー10分。車は上信越道信濃町ICから5分。博物館入館料500円。遊覧船1100円から。一茶記念館(500円)も。問い合わせは博物館=(電)026(258)2090、信州しなの町エコツーリズム観光協会=(電)同(255)3226。

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