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【川手優子 酒とニクの日々】「素揚げや小岩店」いいとこ鶏 アゲアゲ素揚げ

[ 2015年5月20日 05:30 ]

「元祖最強レモンサワー」と手羽で至福のときを感じちゃうワタシ
Photo By スポニチ

 油が恋しい♪揚げ物が大好きな四十路ぽっちゃり系ライター・川手優子が訪れたのは東京・小岩の「素揚げや小岩店」。澄んだ油で揚げられた鶏肉は技ありの逸品。“最強”の酒をヤリながら至福の時を過ごした。

 たまにはあげられてみたい。少しだけちやほやされてみたい。いくつになっても女はそんな夢を持っている(はず)。

 東京の東に“あげ上手”な店があると聞いて行ってみた。「素揚げや」。

 店主の宮崎明さん(47)は神奈川県横須賀生まれ。18歳から料理の世界に入り、銀座の懐石料理店で総料理長を務めた和食のエリートだ。4年前に独立して渋谷で高級懐石料理店を開いたが「ちょっと凝り過ぎて」2年で撤退。手持ち資金も尽きかけたどん底で「素揚げ」に出合った。味をつけずに素のまま揚げる調理法は、素材本来のおいしさを存分に引き出す。「おいしい鶏肉で作れば絶対、人気になると思いました」。運よく即決で店舗も借りられて、起死回生の再スタート。

 肉は1キロ以上もある大山鶏のひな。ねっとりと甘いレバー刺しを食べただけでその鮮度は納得だ。一押しの素揚げセットは砂肝、手羽、ももの3種類。「おいしい素揚げを作るポイントはきれいな油。4セット揚げたら全部取り換えます」

 黄金色に澄んだ油の中で気泡を発しながらダンスする鶏肉。お供は「素揚げにはこれがいちばん!」という「元祖最強レモンサワー」だ。グラスの中には凍らせた串切りレモンが丸々1個!グイッといけば、おぉ!なんてガツンとくるレモン感。のど越しスッキリでスイスイおかわり。おいし過ぎ~。

 20分後、二度揚げされて仕上がった素揚げが登場した。手羽肉を裂くと湯気がホワ~ン。胸、ササミ、手羽と肉のパーツごとに柔らかさと脂のうま味が変わる。もも肉をガブリといくと、歯ごたえカリッのあとに肉汁ジュワ~ッ。味つけは塩とゆずこしょうだけで十分においしい。

 もうひとつの看板メニューはタレで内臓をさっと煮た「煮鳥」。白子と胃袋もついた希少部位の背肝(せぎも)は、タレと脂が混じり合い、口の中が幸せいっぱい。

 上品なタレの味、油通しの技は、懐石料理仕込み。店の客単価は1万円から3000円に下がったが、変わらない料理人の心意気に感動だ。

 本格の味でどん底からあがり続けた結果、いまや小岩の超人気店になった。宮崎さんの夢はジャパニーズフライ「SUAGE」をひっさげての世界進出だ。目指すはニューヨーク支店!

 そのときは私も一緒にあがっていたいわん!

 ◆素揚げや小岩店 支店はないが「小岩店」。「将来の店舗展開を見越して…」(宮崎さん)。素揚げは鶏肉のほか、干物や野菜もある。野菜には京野菜を使ったり、昆布締めされたとりわさなど、料理には懐石料理の技と宮崎さんのセンスが光る。「元祖最強レモンサワー」は他の店にも“のれん分け”されている。超人気店なので予約がおすすめ。東京都江戸川区南小岩8の25の1。(電)03(6806)9481。営業は午後5時から11時。月曜日定休。

 ▼川手 優子(かわて・ゆうこ)東京都出身。年齢、体重非公開の四十路ライター。独身。取材範囲はグルメ、AV、落語など多岐にわたる。週刊誌を中心に活躍中。ライフワークは肉をアテにひとり飲み。酒量は何でもボトル1本以上。

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