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【川手優子 酒とニクの日々】中野「豪」三つ星の鮮度で三つの顔モツ

[ 2015年4月15日 05:30 ]

モツ焼き店「豪」の開店3周年を祝い乾杯する店主・田倉豪運さん(右)と常連客
Photo By スポニチ

 春はたそがれ。ウキウキ、モンモンの日々を送る年齢不詳の四十路独身・肉飲みライター、川手優子が訪れたのは東京・中野の「豪」。鮮度抜群の豚モツを提供すると肉マニアが“三つ星”を贈る話題のモツ焼き店だ。葉桜の夜、ニク欲を満たして…。

 むせ返るほど口いっぱいに頬張りたい。そんな欲求を抑えられない夜がある。求めるのは新鮮なホルモンエキス。向かったのは鯉口シャツ姿の粋な店主が切り盛りするモツ焼き店「豪」だ。

 カウンターの人となってまずはレバーから。鮮度が命のモツは東京都港区の東京中央卸売市場食肉市場直送。切り口の“エッジが利いた”レバーはプリプリで甘みたっぷり。続いてルビー色に輝くハツ、ガツ、チレと夢のようなモツ刺しメドレー。お供はビール、サッポロ“赤星”ラガーだ。

 開店30分後の5時半には早くも店は満席となり、店主の豪ちゃんは次々と入るオーダーを手早くこなしながらも、客との世間話に興じる。

 「汗だくになって2時間で1000本の串打ちをしていた頃に比べればなんてことないです」と、涼しい顔で串を焼き、レバニラ炒めのフライパンをあおりながら、お代わりのハイボールをさっと渡してくれる。

 高田馬場などで店舗展開する人気モツ焼き店「みつぼ」出身。神輿(みこし)が好きな35歳は男盛り。きびきびとした動きにほれぼれしちゃうわ~。

 オクラ、トマト、カブ、空豆など野菜たっぷりの日替わりメニューも充実しているが、豪ちゃん一番の関心はモツ。客においしい店があると聞けば足を運んで味を研究。丁寧に掃除(下処理)されたモツは、手をかけられて美しい“貴婦人”に変身していく。

 大切なのは部位の個性に合わせた「火入れ」。絶妙なボイル加減の「上白刺し」も、串焼きのキクも、心地よい触感と脂のうま味が際立つ仕上がりだ。

 脂も「さっぱり」、「程よく」、「濃厚」と、同じ部位でも調理によって三変化。オンナも同じ。男の扱いによって変わる。こんなに手をかけてもらえたら私だってもっといい味に…おっと、酔いが回ってるわ~。

 極薄カットの「軟骨スライス」、レンコンの歯応えが病みつきになる「手作りつくね」もあったら食べてほしい。

 焼きトン店激戦区の外れにあるカウンター8席だけの小さな店で開店3周年を祝う声が響く。モツマニアにもジモティーにも愛される「豪」のモツ愛に乾杯! (川手 優子)

 ◇豪 豪ちゃんこと店主の田倉豪運(ひでかず)さんは20歳から和食の修業をしたのち、27歳で「みつぼ」に就職。高田馬場店の店長などを経て12年4月に独立開店した。独自の仕入れルートを開拓し、ここでしか食べられないオリジナルの肉メニューに遠方からやって来るファンも多い。酒類も安く2000円もあれば肉ざんまいが楽しめる。東京都中野区新井2の7の12。(電)03(3387)7425。営業時間は午後5時~深夜0時。日曜定休。

 ◆川手 優子(かわて・ゆうこ)東京都出身。年齢、体重非公開の四十路ライター。独身。取材範囲はグルメ、AV、落語など多岐にわたる。週刊誌を中心に活躍中。ライフワークは肉をアテにひとり飲み。酒量は何でもボトル1本以上。

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