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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】多趣味を語らえ 陸、海、山を熟知した店主

3代目・森田繁さん(中)、4代目・高橋淳さん(左)、絵里子さん
Photo By スポニチ

 酒屋さんの店頭で立ち飲みするのが「角打ち」。センベロライター・さくらいよしえが向かったのは東京都荒川区南千住のモリタヤ酒店。そこには昼酒を楽しむ飲んべえたちをニコニコと見守る温厚な店主がいた。実はこの人、ただ者ではなかった!

 荒川の住宅地の中にほっこりたたずむ角打ち。爽やかな光の中、車座でモーニング酒を楽しむ常連さん。時刻は午前11時。

 知る人ぞ知る銘酒に出合える酒店「モリタヤ」は創業大正15年。

 父上(3代目)が金沢の80〜100石(年間製造量)の酒蔵から特別に仕入れる希少な酒から、かんばん娘おすすめの山梨ワイン、4代目若旦那セレクトの九州直送「馬肉メニュー」まである。

 4代目は一昨年まで商社マン。国内外を飛び回る仕事柄、酒も肴(さかな)もこだわりのある造り手に「こだわる」男。して四十路を機に、妻の実家の跡継ぎに転身するのだから、人生とはわからない。

 まず食べるべきは、そんな4代目もイチ推しの南千住名物「にくまん」。

 でも、肉じゃない。戦後、食料がない頃に三ノ輪の商店街のおでん種屋が白身魚を団子にし油で揚げたのが始まりだそう。プニプニもちもちの食感がたまらぬ逸品だ。

 わしのモーニング酒は、男らしい米の味と爽やかな後味が不思議にうまい日本酒「古都のいずみ」(石川県金沢市「武内酒造店」)だ。

 「この町は、にくまんだけじゃなく、日本初の板紙発祥地。それから日本初の毛織発祥地なんですよ」とにこにこ町自慢をする父上だが、日曜大工が得意で、この憩いの角打ちも手作りだ。父上は、「もともと船の設計をやってたんです。船の試乗もしてて、パワーボートレースでは2年連続日本一になりました。時速200キロはこわいですねえ。仲間は、3人死んでます」

 いきなり、ほっこり笑顔で語られるワイルドな半生…。

 ふと角打ちの天井に飾られた自転車にハッとした。壁には山々の写真。

 「登山も自転車もやってます」「海も好きで昔はサーフィンも。加山雄三さんもお仲間でした」「海の潜水なら約2分は」。

 “若大将”から陸・海・山まで制す父上の雄大なストーリー。ほろ酔うわしの目はもうぐるぐるだ。

 2階には、貸し切り専用の囲炉裏(いろり)部屋(こちらも父上のDIY)もあった。

 「地元の同世代はドクターストップでどんどんお酒が飲めなくなりますでしょ。遠くからでも日本酒好きが集まり、皆で話せる場所を作りたくって」

 たとえば「いい山といい酒」を語らう催し。語り部はもちろん、「荒川区で一番の日本一」(わしが決めた)父上です。 (さくらい よしえ)

 ◆モリタヤ酒店 趣味人の3代目は森田繁さん(77)。娘さんの高橋絵里子さん(46)と夫の4代目・淳さん(42)で店を切り盛り。商品のラインアップなど3人おのおののこだわりが光る。立ち飲みスペースは10人も入れば満員。掲示されているメニューのほか酒売り場で買った酒も持ち込んで飲むことができる。2階の囲炉裏スペースは要予約で3時間2500円(4月から変更の可能性も)。ほか炭代1000円などが必要。持ち込んだ食材を焼いて食べることができる。蔵元を呼んでの試飲会なども行っている。東京都荒川区南千住6の17の5。(電)03(3805)2805。営業は午前10時から午後9時。角打ちと囲炉裏は9時半まで。不定休。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「にんげんラブラブ交叉点」(同)など。

[ 2017年3月10日 12:00 ]

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