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オランダ6発快勝で3位キープも…危ういヒディンク監督のクビ

[ 2014年11月18日 08:42 ]

ベンチから戦況を見つめるオランダ代表のヒディンク監督(中央左)(AP)

 名将のクビがつながった。16年欧州選手権(フランス)予選は16日に9試合が行われ、A組のオランダはホームでラトビアに6―0と圧勝して2勝目。3位をキープし、「負けか引き分けなら辞任」と明言していたフース・ヒディンク監督(68)の地位はひとまず保たれた。しかし、3位となったW杯ブラジル大会後に就任した同監督の成績は親善試合を含め2勝4敗。“時代遅れ”とも批判される指揮官の今後は安泰とは言い難い。

【A組順位表】

 不穏な空気を吹き飛ばした。開始6分、MFロッベンの右クロスをFWファンペルシーが頭で叩き込み先制。35分にロッベン、42分にはFWフンテラールのゴールで3―0とオランダは前半で勝負を決めた。ファンペルシーを4―2―3―1のトップ下、フンテラールを1トップと、2人を初めて同時先発起用したヒディンク監督は「私はオランダ協会との契約下にある。それ以上付け加えることはない」と去就への質問を一蹴した。

 アイスランドとチェコに2敗を喫し、ラトビアにも負けると5位転落の可能性があった。指揮官も今月7日の代表発表時に「もし敗れたら私がチームを離れることは理にかなっている」と発言。同監督の下、98年W杯フランス大会4位に貢献した元同国代表MFロナルド・デブール氏から「ヒディンクは時代遅れ」、双子の兄で元同国代表DFのフランク・デブール・アヤックス監督からも「若い監督にポストを渡す時」と批判されるなど背水の陣で臨んでいた。

 R・デブール氏が「時代遅れ」と酷評するのはファンハール前監督(現マンチェスターU監督)のような、きめ細かい戦術のなさだ。相手の弱点を研究し、一気に勝負を懸ける戦い方が「マジック」と称賛されるヒディンク監督は物量頼みの面もあり、実は最も優れているのは人心掌握術。巧みに選手のモチベーションを上げ、韓国など、実績の乏しい国で結果を残してきた。だが、現メンバーはW杯3位の実績を持ち、バイエルンMのグアルディオラ監督ら、最新理論で納得させる戦術家の下でプレー。16年欧州選手権までの契約で、次期監督に内定しているブリント・コーチへの“つなぎ”であるヒディンク監督は持ち味を発揮しにくい状況だ。現代表で選手同士が対立した際も収拾に当たったのはブリント・コーチと言われる。

 ファンハール前監督がW杯で5バックを採用せざるを得なかったように守備のモロさは相変わらず。過去5試合は必ず前半に失点し、しかも個人のミスだったため、前任者と比べて温和な性格が若手に気の緩みを生んだとも指摘されている。ラトビア戦は先制点で楽になり、ファンペルシーは「監督と早く別れる理由はない」と話したが、新たなモチベーションアップの材料がなければ今後も苦戦が予想される。

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