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うつ病で苦しんでいた…ドイツ代表GK自殺

[ 2009年11月12日 06:00 ]

今年5月16日、ボルフスブルク戦でのエンケ選手

 ドイツ・サッカー界に衝撃が走った。ドイツ代表GKのロベルト・エンケ選手が10日、同国北部ハノーバーの踏切で列車にはねられ死亡した。32歳だった。遺書が見つかっており、地元警察は自殺とみて調べを進めている。11日には主治医と家族が会見を開き、うつ病で苦しんでいたことを明かした。W杯欧州予選にも出場したエンケ選手は来年のW杯南ア大会の正GK候補だった。訃報を受け、14日に予定されていたドイツ―チリの親善試合は中止となった。

 エンケ選手は10日午後6時(日本時間11日午前2時)すぎ、ハンブルク―ブレーメン間を時速160キロで走る急行列車にはねられて死亡した。現場は自宅から約2・5キロにある踏切。近くに愛車のベンツが止まっており、遺書も見つかった。

 ハノーバー所属のエンケ選手は、ドイツの将来を背負って立つ存在だった。W杯欧州予選では5試合に出場し、カーン、レーマンが去った代表の正GKとして期待は大きかった。だが、8月に腸の感染症であるカンピロバクター症に侵され、最近3試合の欧州予選を欠場。その間にライバルのアドラー(レバークーゼン)が台頭していた。エンケ選手は10月下旬のリーグ戦で復帰し、死亡2日前のハンブルガーSV戦にも出場したが、チリ戦の代表招集メンバーからは外れていた。

 ピッチ上の活躍とは裏腹に、私生活では苦しんでいた。11日に会見したテレサ夫人は、夫が長年うつ病で苦しんでいたことを告白。「モチベーションを失っていた」と号泣しながら語った。06年には当時2歳だった娘のララちゃんを心臓病で亡くし、今年5月には生後2カ月の養子を迎えていた。病気を隠して心理カウンセリングなども受けていたが、悲しい最期となった。

 国内合宿中だったドイツ代表は、訃報を10日夜の練習前に知らされた。レーブ監督は「ショックを受けて話すことはない」と動揺。その日の練習は中止となり、11日には親善試合チリ戦の中止も決まった。ドイツ協会のツバンツィガー会長は「選手たちのショックは癒えず、とてもプレーできる状況ではない」と説明し、ベッケンバウアー副会長は「何かメッセージを発してくれていたならば、問題はもっと小さなものになったはず」と悲しみに暮れた。

 欧州予選で8勝2分けと圧倒的な強さを誇り、15大会連続17度目のW杯出場権を獲得したドイツ代表。だが、予期しなかった訃報が今後に及ぼす影響は計り知れない。

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2009年11月12日のニュース